心の変化 〜4〜 ページ7
テーブルに2つのマグカップが置かれていた。
マグカップから湯気が見える。
「一人で…淹れたの？」
「うん。これくらい出来るって…」
「……ありがとう…」
「うん。明日はさ、オレが夕飯作るね」
「………」
「A？」
「そんなに無理しないでください…」
「無理してないよ…」
「そうですか…」
「何食べたいか考えといてね〜」
「はい…」
Aがテーブルに着いた。
「頭痛もめまいも、もう治りました？」
「うん」
フロイドがマグカップを手探りで見つけ、持ち手を持った。
それを確認してAもマグカップを持ち、飲む。
「ちょっと濃かったかな？」
「そうですね…。眠れなくなっちゃったりして…」
「どーせオレが寝かせないけどねぇ〜」
「泊まっていくの？」
「だから今ここにいるんじゃん。明日休みだしねぇ〜。週末は毎週泊まるよ〜」
「分かりました」
Aはそっとキッチンを見た。
作業台にコーヒーがこぼれていた。
「………」
カフェオレを飲み終わった後、Aはフロイドに気付かれないようにこっそりと作業台をキレイに拭いた。
それからまた１週間が経った。
今夜も仕事から戻るとフロイドがAの部屋で待っていた。
「お帰りぃ〜」
「ただいま、フロイド先輩。…あれ？もしかして、クリスもいたんですか？」
「うん。オレの淹れた紅茶飲みたいっつーからぁ、淹れてあげたの」
テーブルには空になったティーカップが置いてあった。
「そうだったんですか。クリス、もう帰ったの？」
「うん。帰らせた」
「また…」
「今お茶淹れるから待っててね〜」
フロイドは椅子から立ち上がってキッチンに行く。
何度も行き来しているため、かなり慣れた様子で歩いて行く。
「お湯、沸かすの？」
「うん」
Aはそのままフロイドの行動を見守った。
Aが淹れれば時間もかからないが、Aは時間をかけてお茶を淹れるフロイドを待った。
「美味しいです」
「うん」
椅子に座っていたフロイドがふと立ち上がった。
そしてテーブルを触りながらAの前までやって来た。
「どうしたの？」
フロイドは黙ったままAの身体の位置を確認して突然抱き上げた。
「えっ…！」
Aはそのままベッドへ連れて行かれた。
「フロイド先輩っ！お茶、飲み途中なんですけどっ」
「また後で淹れてやるよ…」
フロイドはAを押し倒して両手を押さえつけた。
「A…」
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月6日 21時
