有名人の振る舞い 〜9〜 ページ48
「フロイド。優勝おめでとうございます」
「アズール〜。オレのお陰で、お店すげぇ儲かってんだろ？」
「お前のお陰もありますが、ほとんどは実力ですよ」
「ふーん…」
「それにしても、報道陣を上手く巻きましたねぇ」
「だってさぁ、もうオレの新居突き止めてんだぜ？ムカつくじゃん」
「分かっていた事でしょうに」
「……いーんだよ。それに、ここなら静かだろ？」
「ええ」
「さぁ、お祝いだらけの美味しい紅茶が入りました。どうぞ召し上がってくださいね」
「わーいっ！ねぇ、クッキーは？」
「はいはい。今出しますから」
ジェイドはニコニコしながらクッキーも用意する。
「僕たちは明日から取材をたくさん受ける予定になっています。もちろん、お前の事をメインに聞かれるでしょうがね」
「Aの事はあんまゆーなよな…」
「僕たちがヘマをするとでも？」
「ふふふ。それだけフロイドにとってAさんが大切な存在と言う事でしょう。あんな会見を開くくらいですから」
「あの、私は大丈夫ですから…」
「あぁ…。こんなに素晴らしいAさんがフロイドと結婚…。フロイドにはもったいないくらいだ…」
「うるせぇなっ」
『リーチ選手を乗せた車が事務所に到着しましたっ』
アズールはわざとテレビをつけたままにしていた。
「オレはここにいるよぉ〜」
「楽しんじゃダメでしょ…」
『マネージャーが車から降りて来ましたっ。………え？ドアを…閉めましたねぇ…。まだリーチ選手は車内にいると思われるのですが…。車がまた動き出しましたっ。……向かったのは…、車庫です…』
「だからオレはここだよぉ〜」
『おかしいですね…。リーチ選手がAさんとあの車に乗り込んだはずなのですが…。途中どこにも停車はしていません…。どういうことでしょうか…』
「メグさんが一言言うみたいですよ」
『リーチは車には乗っていません。以上です』
「あははっ！メグらしい〜っ」
『リーチ選手たちはどこにっ？』
「さぁ。突然消えたもので」
メグがニヤリと笑って運転手と事務所に入って行った。
「本当の事ですものね。ふふふ」
「ボクのお陰だよぉー」
「それで、この後はどう説明するつもりです？」
「何も説明なんかしねぇよ。またクリスに家まで送って貰えばそれで終わりだろ？」
「やれやれ…。まぁ、今のを見ていて、悪い気分はしませんでしたがね…」
アズールがテレビを消した。
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月6日 21時
