有名人の振る舞い 〜3〜 ページ42
「ちっちぇー手だねぇ〜。これからもぉ、この手でみんなに美味しいご飯、作ってあげてね」
「は…はいっ！ありがとうございますっ」
〜フロイド君…、こんな事言うの…？〜
フロイドがファンと接する所を見るのはAにとってこれが初めてだった。
「リーチさんっ！私も握手してくださいっ」
おばちゃんたちは場の空気に少し慣れたのか、フロイドに積極的に交流していく。
フロイドは一人ひとり丁寧に笑顔で対応する。
〜これが…プロのスポーツ選手の振る舞い…〜
メグをチラッと見る。
厳しい視線でフロイドを見ている。
〜やっぱりメグさんが、プロのフロイド君を育ててるんだ…〜
おばちゃんたちはフロイドを囲み、色々話しかける。
フロイドも冗談混じりにツッコミを入れたりして盛り上げていく。
「凄い喜んでるね」
ふとAの横に先輩が来た。
「これが本物のファンなんですね…」
「そうだね。Aちゃん、こんな人たちと働けて、良かったね」
「はいっ」
「あ、Aの先輩〜！」
フロイドが先輩の所にも来てくれた。
「いつもAの面倒見てくれてんでしょ？オレの事もバラさないでくれてありがとね」
「私が２人の関係知ってたって、知ってたんですね」
「うん。Aから聞いてたぁ。他の人に言うような人じゃないってゆーのも知ってるよ〜」
「それは光栄です。改めて、ご結婚おめでとうございます。私が言うのもおかしいかもしれませんが、Aちゃんを幸せにしてあげてください」
「うん。任せてぇ〜」
「リーチさーんっ！写真、撮っても良いですか？」
またおばちゃんたちがフロイドを求めてきた。
「私は良いので、スタッフさんたちに…」
「うん」
フロイドが先輩から離れてまたおばちゃんたちの輪に入っていった。
その姿をAは新鮮な気持ちで見守る。
しばらくすると。
「フロイドっ」
食堂の入口で待っていたメグがフロイドを呼んだ。
「ああっ？」
フロイドがメグを見る。
メグは腕時計を指でトントン叩いた。
「おばちゃんたちぃ〜、そろそろ時間みたぁい」
「え〜っ。残念〜…。でも、わざわざ私達の所にまで来てくれてありがとうございましたっ」
「これからもパルクール、頑張ってくださいっ」
「Aさんと幸せになってくださいっ」
「みんな、ありがと〜」
フロイドがもう一度おばちゃんたちに握手をしていく。
「じゃ、またいつか会おうね〜」
「はいっ」
「ありがとうございましたーっ！」
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月6日 21時
