フロイドの計画 〜9〜 ページ37
『リーチ選手にこれからもついて行きたい人はついて来い、の様にも聞こえますが？』
『はぁ……』
フロイドはため息をついた。
そしてまた答える。
『オレを応援してくれる人にはオレはちゃんと応えるってぇ。それは今までもこれからも変わんないのっ』
「あの質問者、バカなの？」
「嫌がらせとしか思えないねぇ」
『他の質問がある方は挙手を…』
「ほらぁ。司会者にも強制終了されちゃってるじゃーん」
「どこの局？」
結局、フロイドのファンが減ることは無さそうだ。
「フロイドさん、馬鹿げた質問にも真摯に受け答えしてるね」
「はい…」
Aは先輩と最後まで記者会見を見守った。
気付けば会社の昼休みもとっくに終わっていた。
フロイドの記者会見は１時間近くかかった。
しかしフロイドはどんな質問にもキレる事無く分かりやすく答えて行った。
「Aさん、ご結婚、おめでとうございます」
食堂スタッフのフロイドファンがAに寄ってきた。
「ありがとうございます…。あの、今まで黙っててすみませんでした…」
「いいえ。謝らないでくださいよ。あんな人気のフロイド選手の恋人なら、誰にも言えないわよね」
「そう言ってもらえると、助かります…」
「それにしても、今の会見。めっちゃカッコ良かった〜っ！Aさんがフロイド選手と結婚しても、私は一ファンとしてこれからも応援するわっ」
「私もっ！」
次々と食堂スタッフのフロイドファンが寄ってくる。
「うふふ。よろしくお願いします」
「ところでAさん、結婚しても、ここ、辞めないわよね？」
「あぁ…。フロイド君は私の好きなように今までもさせてくれてたから、結婚しても続けさせてくれると思います」
「良かった〜っ！フロイド選手の奥様が私たちの上司なんて、最高よね〜っ！」
「そっち…ですか…」
「そう言いながらAちゃんを必要としてるんだよ」
先輩がAの肩を叩いた。
「はい。そう信じてます」
「Aさん。ちょっと…」
皆でワイワイ盛り上がっている中、Aの直属の上司が食堂へやって来た。
「あ…、はいっ…」
Aは上司に呼ばれ、社内の副社長室へ連れて行かれた。
「失礼します…」
「わざわざ呼び出してすまないね」
「いえ…」
副社長とは数回しか会ったことがない。
「まずは、ご結婚、おめでとう。先程のリーチ選手の会見、観ましたよ」
「ありがとうございます…」
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月6日 21時
