フロイドの計画 〜5〜 ページ33
──うん。──
──Aからは何も言うなよ。──
──分かった。──
『ただいま報道陣に入って来た情報ですっ。リーチ選手の記者会見は、この後12時半頃から始まるそうですっ』
〜めっちゃ忙しい時間選ぶなっ〜
心の中で、Aはフロイドにツッコんだ。
「12時半って…。私たちが一番忙しい時間じゃーん…」
「フロイド様〜っ！せめてあと30分遅くしてぇ〜っ」
〜スタッフさん…。同意しますよ…〜
Aはため息をついて一度食堂を後にした。
記者会見が始まるまでに、栄養士が使う部屋でデータの整理をする。
「フロイドさん、記者会見するんだね」
白衣を着た一人の女性がAに声を掛けてきた。
「そうみたいですね」
この女性はAとフロイドが付き合ってることを知っている。
しかし誰にも漏らすことはしない。
信頼できる先輩だった。
「私たちがこんな忙しい時間って知ってて狙ったの？」
「フロイド君なら、ふざけてそう言う事するかもしれないですっ…」
「面白い人だねぇ」
「物凄い気分屋なんですよっ」
「Aちゃん言うねぇー」
先輩の女性は優しく笑った。
そして12時半になった。
Aは戦場と化した食堂に再び足を運ぶ。
たくさんの社員たちが色々なメニューを注文していく。
スタッフたちは忙しく社員に対応して食事を提供する。
不都合が出ていないかチェックしながらAはテレビも気にする。
Aだけではない。
食堂にいるスタッフ皆がテレビを気にしながら動いている。
食事をしている社員たちの中にも、テレビを観てフロイドの話をしている人がいた。
先程のリポーターの声が聞こえる。
『席は２つ用意されています。これは監督とリーチ選手の２名が記者会見に臨むと考えて良いかと思いますねぇ…』
到着ロビーの中継の時より声量を落としている。
他の記者に迷惑にならないようにしているらしい。
「始まったー？」
「まだみたーい」
厨房では記者会見を気にしているスタッフたちが手を休めること無く短く会話をしている。
すると、間もなくテレビ画面が光った。
またカメラのフラッシュが大量に光っていた。
「ねぇっ！始まるよっ」
Aは食堂で不都合が起こらない事を祈ってテレビを観ることにした。
記者会見が開かれる部屋に監督とフロイドが入ってきた。
監督が席に着く前に記者たちに礼をした。
しかしフロイドはそのまま座る。
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月6日 21時
