フロイドの計画 〜3〜 ページ31
Aの勤める職場はある企業の食堂だった。
食堂と言っても、Aは管理栄養士の資格を取り、この会社の社食の献立を管理する立場だ。
管理栄養士だけでなく、フロイドのためにスポーツ栄養士の資格も取った。
間もなく昼休みになる。
とても広くて綺麗な食堂には、いくつかテレビが設置されている。
「あのパルクールの選手、優勝したんでしょー？」
「フロイド・リーチだよっ！いい加減名前覚えなよー。私、あの顔にやられてめっちゃフロイド・リーチにハマってるんだよねぇー」
食堂で昼食を作っているスタッフたちがフロイドの話で盛り上がっている。
Aがふとテレビを見ると、フロイドのパルクール優勝の話題が流れていた。
「しかも義眼とか言ってカッコイイよねぇーっ！やっぱ彼女とか、いるのかなぁ…」
「えーっ？それはイヤだなぁ。私のフロイド様に彼女がいた！とかだったらショック過ぎて死ぬわー…」
好き勝手な事を話している。
「あ、Aさんっ！Aさんは昨日のパルクールの世界大会見ました？」
一人のスタッフが声を掛けてきた。
「ええ…。見てました…」
「Aさんもフロイド・リーチ、カッコイイと思いませんっ？」
「うふふ…。そうですね…」
「ほらぁ、Aさん困ってるじゃんっ！」
「ねぇねぇっ！フロイド様が空港に到着したってぇー！」
スタッフがテレビ中継を見て興奮し始めた。
Aも一緒にテレビ中継を見る。
「凄い…人ですね…」
「生フロイドを一目見ようと空港に集まったにわかファンがほとんどよ。私みたいに真のフロイドファンは迷惑にならないようにテレビ中継で我慢するのよっ！」
「そういうものなんですか…」
Aはどう反応して良いか分からない。
テレビを見ていると、集まった人の中には『フロイドLOVE!』等と書かれたうちわを持っている人がちらほら見て取れた。
〜フロイド君…優勝して、更に人気出ちゃったんだね…〜
テレビ中継をするリポーターも大袈裟な口調でスタジオにいる司会者と会話をしている。
『そうなんですよ〜っ。リーチ選手にしては珍しく、この後記者会見を開いてくれるそうなんですっ。そこで今回の大会での感想など、詳しく聞けるのではないでしょうかっ。私もリーチ選手に質問をしたいと思いますっ』
嬉しそうにリポーターが話している。
〜記者会見…？フロイド君が？いつも断ってるのに…〜
食堂のスタッフたちはフロイドの声が聞けるとソワソワしていた。
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月6日 21時
