5年経った2人 〜2〜 ページ25
「では僕もシングルサイズを1つ注文させていただきましょう。僕はシングルで充分間に合いますので。もちろん、フロイドの兄と言うことで、少しは割引いていただけますよね？」
「うん。後でメーカーに言っとくよ」
「ふふふ。ありがとうございます。これで僕も快眠間違いなしですね。あれだけ宣伝されているベッドですからね」
「当たり前じゃーん」
フロイドが自慢げに笑った。
「Aさん。お久しぶりです。お元気でしたか？」
「ジェイド先輩お久しぶりです。私はこの通り元気ですよ。ジェイド先輩は？」
「ふふふ。相変わらずアズールにこき使われている日々を送っていますよ」
「でも凄いですよね。モストロ・ラウンジがこんなに大きく成長するなんて」
「ええ。アズールの経営手腕はいつも僕を良い意味で裏切ってくれます。お陰で毎日楽しくこき使われていますよ」
「うぇ〜…。物好きだよなぁ〜、ジェイドは〜」
「そうですか？まぁ、双子でも、これだけ進む道が違うこともあるのですねぇ」
「そんなもんじゃね？」
「僕もフロイドの様な才能が欲しかったですねぇ。スポーツ万能、奇抜なアイデア、食へのこだわり…。食に関しては、もしかしたら僕たちの方が上かもしれませんがね。ふふふ」
「オレは好きな事やってたらこーなっただけだよ」
「好きな事をやっていたら、今では有名なパルクールの選手になってしまったではないですか。更にはこのベッドの様に、色々なメーカーとコラボして、商品をプロデュース出来る程のアイデアが浮かぶのでしょう？しかもどれもヒットしちゃって」
「まぁね〜」
フロイドがAを抱き寄せた。
「更にはこの歳でこんな高級マンションの最上階を購入出来る程の経済力…」
ジェイドがリビングを覗き、室内を見渡す。
「ジェイドだってそれは一緒だろ〜？」
「どうでしょうね。ふふふ…。Aさんが働かなくたって、フロイドの収入だけで贅沢な暮らしが出来るのではないですか？」
「そうかもしれないけど、私は自分で稼いで自分を成長させたいんです。フロイド君程までは成長出来なくても…、出来ることは…自分でやりたいなって…」
「Aさんは本当に偉いですねぇ。どうです？ナイトレイブンカレッジにいた頃の様に、僕たちの店でまた働きませんか？Aさんでしたら給与面はもちろん、福利厚生も優遇対応させていただきますよ」
「ジェイド先輩、お誘いは嬉しいけど、私は今の職場が気に入っています」
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月6日 21時
