5年経った2人 〜1〜 ページ24
「こんなに…大きかったっけ…」
「あの小ささに見慣れ過ぎちゃってたからねぇ〜…。5年もちっちぇーままにされてたんだし」
「ウツボちゃんでリビングの半分近く場所とられちゃってない？」
「そのうち慣れるだろ」
「大きいリビングなはずなのに…、狭い…」
「じゃ、もうちょっと、ちっちゃくする？」
「ううん。この大きさが良いな…」
「じゃ、寝室に置く？」
「そしたらベッド置けなくなっちゃうよ…」
「それはダメ〜っ」
「フロイド君こだわりのキングサイズのベッドだもんね」
「うん。ベッドをちっちゃくするのも無しだよぉ〜」
「うーん…」
ピンポーン…
フロイドがインターホンのモニターを見る。
「業者、来ちゃったよ？ウツボちゃん、どーする？」
「うーん…」
「とりあえず、出て来るわ」
フロイドが玄関に向かった。
フロイドが再び目が見えるようになったあの日から、5年が過ぎた。
今日はフロイドとAが新居に引っ越しをする日だ。
フロイドは玄関のドアを開けた。
「どうもー。ベッドをお届けに参りましたー。リーチさんのお宅でお間違い無いでしょうか？」
「はいはーい。……っつーか…、これ？」
「はい。そうですが…」
「メーカーで見てた時よりでけぇな…。玄関入る…？」
「ええ。入りますよー」
「なら、いーけど…」
「では、早速設置しますので、お部屋はどちらに？」
「あぁ…。こっち〜」
「失礼しまーす」
フロイドが業者に寝室を案内する。
その物音にAも寝室の様子を見に来た。
「フロイド君…。ベッド、こんなに大きかったっけ…」
「うん…」
「ウツボちゃんもベッドも…、思った以上に大きいね…」
「ベッドのメーカーはもちろんだけど、オンボロ寮もデカイ建物だったって事だよねぇ〜…」
「そうだね…」
業者は手慣れた様子でキングサイズのベッドを組み立てていく。
ピンポーン…
「あっ、ジェイド先輩かなっ？」
「うん」
フロイドがまたインターホンのモニターを見た。
応答ボタンを押す。
「ジェイド〜。開いてるから入って〜」
「はい。分かりました」
玄関のドアが開く音がした。
「お邪魔しますよ」
ジェイドは物音がする寝室までやって来た。
「おや。随分と大きなベッドですね。キングサイズですか」
「うん。オレのこだわりぃ〜」
「ふふふ。寝心地はさぞかし最高なのでしょうね」
「オレの折り紙付きだよぉ〜」
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月6日 21時
