新しい目 〜11〜 ページ20
フロイドが右目でしっかりとAを見つめ、ベッドに座って出迎えてくれた。
「もう来てくれてるって思ってましたっ」
「うん」
フロイドは立ち上がり、Aから目を離すことなく近付いてくる。
「今日はスウェットぉ〜？」
「はいっ。フロイド先輩とお揃いにしようと思ってたんです。やっぱりお揃いになりました」
「なるほどねぇ〜。でもどーせすぐ脱がせちゃうよ？」
「それでも良いんです。お揃いの姿、フロイド先輩の目で見てもらいたかったから…」
「うん」
フロイドはAを抱き上げてベッドへ歩いて行く。
肩から降ろしながら、そのままお姫様抱っこをしてくれた。
「お姫様抱っこ。久しぶりでしょ？」
「はい…。嬉しい…」
間近でフロイドがAを見つめてくれている。
「A…。半年前と何も変わってないね。もっと大人っぽくなってるかと思ってたのにぃ〜」
「そんな急に変わりませんよっ！」
フロイドがお姫様抱っこしたままキスをした。
「もう１回ね…」
フロイドはしばらくそのままキスを続けた。
そしてゆっくりAをベッドへ寝かせる。
「クリスは何て言ってました？」
「『兄弟愛凄すぎて、感動して涙が出ちゃうよーっ』って笑ってたぁ〜」
「うふふ。クリスらしいですね」
「うん。でも、オレが本当にまた目が見えるようになって喜んでくれてた」
「そうですよっ。……メガネ、外しても良いですか？」
「うん」
Aがフロイドのメガネを外す。
そして何となく自分の顔にメガネをかけてみた。
「うわぁっ！……くらっくらする〜…」
「すげぇ度が強いからねぇ。さすがに裸眼じゃ生活出来ねぇってさぁ〜」
「それでも、目が見えているんですから、ありがたいですよ」
「うん」
Aがフロイドの右目を良く見る。
「この目…、知ってます…。本当に良く見てた…、一番見てた目と…そっくりなの…」
「ジェイドの目。オレと同じ目だからねぇ」
「はい…。左目に入っている義眼と全く違う、ジェイド先輩から嫁いできた目…」
「あははっ。そーいえば、ジェイドがそんな事言ってたねぇ〜」
「本当に嫁いできてくれた目ですよ…。その目で…、メガネ無しで、私がちゃんと見えますか？」
「見えるよ。この距離なら、見える…」
フロイドがAの顔スレスレに近づいた。
「嬉しい…。いっぱい…見てください」
「うん。Aの身体も、この目で見るからね…」
「はい…」
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月6日 21時
