新しい目 〜5〜 ページ14
午前中の授業が終わり、Aがメールをチェックした。
「っ……」
嬉しさのあまり、声も出せずに涙が浮かんだ。
「A？」
「うん…。……フロイド先輩、少し…目が見えるようになったって…」
心配するエペルに頑張って報告した。
「おめでとうっ！本当に…良かったね！お昼、今日もアズール先輩と食べるでしょ？食堂まで一緒に行こう」
「うんっ……」
Aはアズールと合流し、ジェイドと電話で話しをした。
「退院はいつくらいになるんですか？」
「順調に回復すれば、あと１週間くらいだそうです。それまでに、視力ももう少し良くなるかもしれないそうですよ」
「本当に…、見えるようになったんですね…」
「ええ。僕の姿も何となくですが見えると言っていました」
「早く…、会いたい…」
「フロイドが、自分の新しい目で見て、一人で歩いて、Aさんに会いに行くと、張り切っていましたよ。ふふふ」
「はいっ……」
「それと、つい先程、フロイドがまたいつもの激しい頭痛に襲われました。これはまだ治っていないようです」
「そうですか…」
「でも、目が見えるようになった事には変わりありません。頭痛が襲ったら、また僕たちがフォローすれば良いのですから」
「はいっ。頑張りますっ」
2日後。
病室で医師がガーゼを外す。
「まだすげぇぼやけて、何となくしか物の認識が出来ねぇな…」
「それはメガネで矯正すれば問題ありません」
「これ以上視力良くなんねぇの？」
「もう少し良くなるとは思いますが、裸眼での生活は厳しいでしょうね」
「しょーがねっかぁ。目が見えるようになっただけでも、喜ばなきゃいけねぇもんなぁ〜」
「ええ。私もお役に立てて、嬉しいです」
「ありがと、先生〜」
「いいえ。リーチさんが移植手術を決意してくれたお陰ですよ。正直、月日が経ちすぎてダメなんじゃないかと思いましたから…」
「そっか…。拒絶反応も何も出てないんでしょ？」
「ええ」
「じゃ、この新しい目、オレと相性バッチリなんだねぇ〜」
「そうですね」
「先生〜。新しい目、見たいんだけど、鏡ある？」
「少し待っていてくださいね」
医師が部屋の出口へ向かっていくのがぼんやり見えた。
そこに一人の人影が部屋に入ってくるのがぼんやり見えた。
「ジェイド？」
「ふふふ。分かります？」
「ジェイドさん。フロイドさんが新しい目を見たいと仰ったので、鏡を持って来ようとしたところです」
「…そうですか…」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月6日 21時
