検索窓
今日:16 hit、昨日:17 hit、合計:3,286 hit

切なすぎる夜 〜4〜 ページ49

「だってさぁー。ただ事じゃないの、すぐに分かったよぉー…」

「クリス。本当にありがとうございます」

「クリスがジェイドたちを連れてきたの?」

「そーだよー」

「そっか…。ありがと…。オレ…、何やってんだろ…」

「まぁ、今回は未遂で済みましたし、恐らくレオナさんもそれなりの処分を下すでしょう」

「Aのメンタルが心配なんだよ…。これじゃ、Aがこの世界に来た時と同じ…、いや、それ以上の恐怖を感じただろ…」

「確かに、そうでしょうね…」

フロイドが赤い糸を辿る。

「Aは自分の部屋?」

「ええ。2人がいた場所も、そこです」

「………本当に、もう、オンボロ寮では生活出来ねぇな…。そんな部屋で、寝たくないだろ?」

「ええ…」

「Aのところ、行ってくる…」

「立てますか?」

「大丈夫だよ。オレが出来る限りのことは…、してやりたいんだ」

「そうですか」

フロイドはゆっくり立ち上がり、手探りで談話室のドアを見つけ、出て行った。



「A…」

Aの部屋のドアは開いたままだった。

「フロイド先輩……」

「怖かったね…」

ベッドに座っていたAが走って来てフロイドに抱きついた。

「フロイド先輩っ…」

「ごめんね…。また…守れなかった…」

フロイドがAをしっかりと抱きしめる。

「私たち…、何で…こんな事…されなくちゃいけないの…」

「全部…オレのせいだよ…」

「クリスが、来てくれました…」

「そっか…。会ったんだ…」

「クリスが、助けてくれたの…」

「うん…。聞いたよ…」

「フロイド先輩が…呼んでくれたんでしょ?」

「うん」

「フロイド先輩の目を…してた…」

「そーだね…。契約だからね…」

「フロイド先輩が目を失ったから…、こんな事になったのに、その目を持ったクリスに助けられるなんて…、皮肉ですよね…」

「……皮肉…。そーだね…。皮肉だよね…」

「でも…、フロイド先輩もクリスも私も…悪くないんです…。悪いのは、さっき襲ってきた人たち…」

「うん」

「もう…ダメかと思いました…。服、脱がされそうになって…」

「身体…、触られなかった?」

「服の上から……胸を…」

フロイドの抱きしめる力がギュッと強くなった。

「ごめんね…。本当に…、ごめんねしか…言えない…。情けないよ…。こんなオレ…」

「こんなフロイド先輩も、私は好きです…。大好きです…」


切なすぎる夜だった。

切なすぎる夜 〜5〜→←切なすぎる夜 〜3〜



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (1 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:魅樹 | 作成日時:2023年6月2日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。