切なすぎる夜 〜1〜 ページ46
それから更に月日が経ち、フロイドの目が見えなくなってから4ヶ月が過ぎた。
フロイドはAと外出も出来るようになった。
レストランで食事もするし、洋服もたくさん買う。
Aに選んでもらったり、店員にコーディネートしてもらったり、Aのランジェリーもイメージを伝えて選ぶ。
「目が見えてたら、またクレーンゲームしたかったんだけどなぁ…」
「いつか、目が見えるようになったら、いっぱい取ってくださいね」
「いつか…かぁ…」
「移植、考えませんか？」
「しないよ〜」
「強がりっ！」
「だってぇ、みんなに色々やってもらえて、何とかこの生活に慣れてきたもん。空間認識魔法も多少使えるしぃ〜」
「だけど、見えてたら、もっと便利な生活になるでしょ？私の顔だって、毎日見れるんですよ？」
「まぁね…」
街の帰り道、白杖を使って一人で歩くフロイドと、その横を並んで歩くAが、そんな話をしていた。
夕食も街のレストランで済ませて来たので、時間も夜の8時を過ぎていた。
「早くシャワーしてぇ、今日はAを抱く〜」
「はい…」
「どしたの？元気ない返事してぇ」
「フロイド先輩に…、今日買ったブラジャー見てもらいながら脱がされたかったなぁ」
「あははっ。Aさぁ。最近どんどん大胆な事ゆーよーになったよねぇ〜」
「そうですか？」
「うん。オレを興奮させようとしてんの？」
「そんな事…あったりなかったり…」
「どっちだよっ」
「学園の門に着きますよ」
「うん」
オンボロ寮に着き、談話室へ行く。
「はぁーっ。疲れたけどぉ、楽しかったねぇ〜」
「はいっ。また、買い物行きましょうね」
「うん」
「今度は、クッキーの型抜きっ……キャッ！」
「Aっ？」
「んんっーんんっ！」
突然Aの声が途切れ、まるで口を塞がれた様な声がした。
「Aっ！」
赤い糸は同じ場所にある。
「んんーっ！」
フロイドが異変を感じ、赤い糸を辿ってAの元へ急ぐ。
しかし、赤い糸は移動し始めた。
「はい、残念ーっ！へへへっ…」
「誰だよっ！」
「そうだよねぇー。お前、目が見えないから誰がここにいるのか分かんねぇーんだよなぁ？」
聞き覚えのない声だった。
「Aに何をしたっ！」
「ちょっとねぇー…。良い事してあげようと思ってさぁ」
「Aっ！」
「ベッドに連れてこーぜー」
「ひゃっはっはっーっ！」
フロイドは空間認識魔法を使った。
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月2日 17時
