検索窓
今日:29 hit、昨日:17 hit、合計:3,299 hit

不完全な生活 〜2〜 ページ43

「大丈夫。薬、効いてきますからねっ…」

フロイドがいる前でも構わず、Aはジェイドに電話した。
ジェイドはすぐに電話に出てくれた。

「Aさん。どうしました?」

「ジェイド先輩っ!フロイド先輩が…、キッチンで倒れちゃいましたっ。薬は飲ませたけど、床に寝かせた状態で…」

「分かりました。すぐに向かいます。Aさんはそのままフロイドの側にいてください」

電話を切り、フロイドを触る。

「フロイド先輩…。ごめんね…、水掛けちゃった…」

そしてビショビショの焼け焦げたミトンを見つめた。




間もなくしてジェイドがやって来た。

「Aさんっ。お待たせしました。フロイドは?」

「眠っちゃいました…」

フロイドの頭の下にタオルが置いてある。
Aが枕代わりに置いたのだ。

「そうですか。……何か焦げ臭いですね…」

「はい…。お湯を沸かしている時にフロイド先輩が倒れちゃって、その勢いでミトンに火が燃え移ってしまったみたいで…。大事にはならなかったけど、私が焦って水を掛けたから、フロイド先輩の足も濡れちゃいました…」

ジェイドが立ち上がり、コンロ付近を確認する。

「なるほど…。フロイドがお湯を沸かしていたのですね?」

「はい…」

「分かりました。Aさんに怪我はありませんでしたか?」

「大丈夫です。それよりも、フロイド先輩が…」

「そうですね。どこも打っていなければ良いのですが…」

ジェイドがフロイドを抱きかかえた。

「よっ……」

そのままフロイドを背負う。

「とにかく…ベッドへ…」

「はい」

ジェイドはフロイドを背負いながら階段を登り、フロイドの部屋に入った。
ゆっくりとフロイドをベッドに仰向けに寝かせる。

マジカルペンを取り出し、フロイドに向けて振った。

「特別ですよ…」

フロイドはジェイドの魔法で部屋着姿になった。

「ありがとうございます」

「頭痛が襲ったのは2週間ぶりですよね?」

「はい…」

「うーん…。頻度が減ったと考えて良いのでしょうか…。それでも痛みの強さは変わらない…」

「可哀想ですね…」

「これはフロイドも予想出来なかった事でしょうしね」

「そうですね…」

「Aさん。僕はキッチンを片付けてきます。しばらくフロイドの側にいてください」

「はい。お願いします」

ジェイドは部屋を出て行った。

「はぁ……。私は…、フロイド先輩の役に立ってますか…?」

Aは眠っているフロイドを見ながら呟いた。

不完全な生活 〜3〜→←不完全な生活 〜1〜



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (1 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:魅樹 | 作成日時:2023年6月2日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。