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盲目のバスケ 〜4〜 ページ41

観客席を一周するほどは出来ないが、少し観客席でフロイドはパルクールを楽しんだ。

〜全然つまずかないし、踏み外したりしてない…〜

フロイドがAの元へ戻って来た。

「やっぱ疲れるねぇ〜…」

「凄いですよ…」

「うん。A。飲み物ちょーだい」

「はいっ」

フロイドがベンチを探して座る間にスポーツドリンクを持って来た。

「スポーツドリンクです」

「ありがと」

フロイドが手を伸ばす。
Aは右手に持っていたコップを急いで左手に持ち替えた。
フロイドはコップを受け取る。

「赤い糸、見えてるんですね」

「うん」

フロイドがスポーツドリンクを一気に飲み干す。

「よしっ。カニちゃんの練習、付き合ってやるかぁ」

「もう練習するんですか?」

「うん。カニちゃんコート?」

「はい」

「カニちゃーんっ」

フロイドがエースを大きな声で呼んだ。

「あっ、はいっ」

エースが走って来た。

「さっき、パルクールやってましたよね?」

「うん」

「マジですげえッスね…」

「うん。だから練習付き合ってあげるって言ったでしょ?」

「はいっ」

「じゃ、コートまで連れてって〜」

「了解ッス」

フロイドが腕を伸ばす。
それに合わせてエースが左腕を差し出した。

「このまま真っすぐですよ」

「うん」


コートに入り、フロイドがボールを持つ。
何度かバウンドさせてみたが、ボールが外れる事はなかった。

ボールを持ち、また動きが止まる。
そして構える。
更にシュートする。

シュッ…

「入った…」

ベンチから見ていたAが驚いて声を出した。
コートにいる部員たちも驚き、拍手と歓声が起こった。

〜パルクールもバスケも…それなりに出来るなんて…〜

その後も、シュートを外す事もあるが、フロイドは目が見えないとは思えない程の動きを見せた。




「あー。疲れたぁ〜。このまま食堂行こ〜」

「はい。あんなに魔法連発して、大丈夫なんですか?」

「うーん…。結構ハードだよねぇ〜…。でもぉ、楽しかったからいーの」

「頭痛とめまいは?」

「大丈夫だよ〜」

「良かった…。じゃぁ、いっぱい食べて、いっぱい寝ましょう」

「うん」





それから約1ヶ月が経った。

フロイドは少しずつ学園の生活に慣れて来た。
登校も白杖を使って一人で歩いて行き、Aの送り迎えも一人でする。

部活も良く参加するようになった。

モストロ・ラウンジの仕事だけはまだ外されている。

不完全な生活 〜1〜→←盲目のバスケ 〜3〜



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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年6月2日 17時

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