盲目のバスケ 〜2〜 ページ39
「Aー。フロイド先輩、オレが着替え手伝うからここで待っててー」
エースがフロイドに腕を貸しながら手を振った。
「カニちゃーん。手伝ってくれなくても着替えられるってぇ〜」
「え?そうなんッスか?」
「……でも、ま、見ててくれるならそれでもいーよ〜。オレの弛んだ腹見て笑ったら絞めるけどぉ〜」
「へっ?腹、弛んじゃったんッスか?」
「今、笑っただろっ…」
「わっ…笑ってなんかないッスよーっ…」
2人は変なやり取りをしながら更衣室へ消えて行った。
「A」
今度はジャミルに声を掛けられる。
「今までお休みしてご迷惑おかけしました…」
「いや。それは大丈夫だ。それより、ジェイドから話は聞いた。フロイド目の病気の事だったなら、初めからそう言えば良かったのに」
「あ…。眼科医を紹介してもらった事ですか?」
「ああ。まぁ、カリムにも報告はさせてもらうが、もっと力になれたかもしれないのに」
〜ジェイド先輩、どこまで伝えたんだろう…〜
「はい…。私もあまり…あの時はこんな大事になるなんて思っていなかったので…」
「フロイドはこの事を知らないようだから、俺たちもそのように上手くやるから安心しろ」
「ありがとうございます…」
「それと、頭痛とめまいの事も聞いた。薬、あるんだろ?」
「はい。フロイド先輩も私も常に持つことにしてます」
「分かった。俺たちに出来ることは協力するから」
「はい。心強いです」
「それにしても、目が見えないでバスケをするなんて…。まぁ、人間不可能な事は無い…と言うからな…」
「そうですね…」
「お待たせぇ〜」
ちょうどフロイドが更衣室から出て来た。
「もー。フロイド先輩、ユニフォーム前と後ろ反対に着ちゃうんだからぁ…」
「しょーがねーだろ〜。目が見えねぇとそんなもんなのぉ〜」
「オレが付いてて良かったでしょ?」
「絞めるっ」
「何でですかーっ……」
「エース。ありがとう。フロイド。久しぶりの部活だ。良く体を温めろよ」
「はいはい…」
「パルクールは…。いや…。何でも無い。やりたければやれば良い」
「ウミヘビ君に言われなくたってやるよ〜」
「そうか。何か手伝う事は?」
「………必要になったら呼ぶ〜」
「分かった」
フロイドは壁伝いに置いてあるベンチを手探りで見つける。
そして座ってシューズの紐を結び直した。
「ほう…。やるじゃないか…」
ジャミルが呟いた。
「A〜。オレの足に乗って〜」
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年6月2日 17時