盲目のバスケ 〜1〜 ページ38
フロイドは白杖で段差を確認して慎重に段差を登る。
この辺りからちらほら生徒の姿が見られるようになる。
「あの噂、本当だったんだー…」
「白杖持ってるとそれっぽいよな…」
フロイドの姿を見て、生徒たちが話している。
「あははっ。それっぽいって何だよ〜」
フロイドが思わず笑った。
「ふふふ。注目の的ですね」
「オレ人気者じゃーん」
「ポジティブ兄弟…」
Aはジェイドとフロイドに教室まで送ってもらった。
「お昼はどうします?ご一緒しましょうか?」
「いーよ。Aはグッピーちゃんと食べるでしょ?オレはジェイドとアズールと食うから大丈夫だよ〜」
「分かりました」
「ではAさん。また放課後、フロイドとお迎えにあがりますね」
「はい」
1年生の教室の前でもフロイドは目立っていた。
Aは気にしないように教室へ入る。
「おはようエペル」
「おはよう。今日は少し遅いね」
「うん。フロイド先輩が今日から登校出来るようになって、目が…見えないから時間かかっちゃったんだ…」
「そっか…。フロイド先輩、送りに来れるの?」
「ジェイド先輩の腕に掴まってだけど、そのうち一人で送るって言ってる…」
「凄いねー!早くそうなると良いね」
「うん。ありがとう」
やはりエペルは良い友達だ。
放課後。
またフロイドがジェイドの腕に掴まって迎えに来た。
「Aー。部活、行くよ〜」
「はいっ」
「僕もジャミルさんに話しをしたいので一緒に行きます」
「はぁ?何だよ、話ってぇ」
「今後のフロイドの活動について、甘やかさないで、と伝えようかと」
「そんなのオレがゆーからいーって…」
「ダメです。さ。行きますよ」
「はいはい…」
体育館では既にバスケ部が練習を始めていた。
「えっ?フロイド先輩っ!」
エースがフロイドに気付いた。
ジャミルもそれに反応し、体育館の入口を見た。
「フロイド!Aっ!…ジェイドも…?」
ジャミルとエースが駆け寄ってきた。
「フロイド。この度は、大変だったな。具合、もう大丈夫なのか?」
「うん」
「いいえ。ジャミルさん。その事でお伝えしておきたい事が…」
「分かった」
「Aー。行こ」
「良いんですか?」
「オレがいたってどーせ無視されるだけだもーん」
「フロイド先輩っ。オレが誘導しますよっ」
「……サンキュー…」
一瞬迷ったようだが、フロイドは素直にエースの腕に掴まった。
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年6月2日 17時