難しい生活 〜10〜 ページ37
「まあ、良いでしょう」
「はぁ…。何でこんなにジェイドに言われなきゃなんねぇんだよ…」
「目が見えないくせに偉そうな事言っているからですよ」
「だからそれはわかったっつったじゃん…」
いつもの2倍程の時間をかけて、フロイドが制服に着替えた。
「ネクタイは？」
「いつもしてねぇだろ…」
「たまにはしたらどうです？」
「余計に時間かかるだろ〜っ！」
「情けない…」
「うるせぇな〜。ネクタイはしないからねぇ〜っ」
「仕方ありません。では、次は朝食ですね」
「あ、私が準備します」
「そうですね…。ここはAさんにお任せしましょう」
「ジェイド先輩も食べますよね？」
「いいえ。もう済ませましたよ」
「早っ！」
「ジジイかよ…」
「ですが、紅茶だけは、いただきましょうかね」
「分かりました」
「A。オレ、カフェオレがい〜」
「Aさんにわがまま言うんではありませんっ」
「ジェイドが来なきゃカフェオレだったんだよっ！」
「Aさん。フロイドに構わず紅茶だけ淹れてくださいね」
「あの…、両方作りますから…」
こんなに賑やかな朝は初めてだった。
Aは急いで朝食を作り、紅茶とカフェオレを淹れる。
「お待たせしました」
「ありがとうございます、Aさん」
「いいえ。フロイド先輩はカフェオレですよ」
「うん。ありがと」
「熱いですから気を付けてくださいね」
フロイドが持ちやすいように昨日と同様に持ち手の位置を変える。
「うん」
ジェイドは黙ってフロイドの動きを見ていた。
「やはりいつもより2倍程の時間を考えて行動するのが良さそうですね」
オンボロ寮を出て学園へ向かう途中。
ジェイドが口元に手を当て、難しい顔をする。
左腕にはフロイドが掴まっている。
フロイドはジェイドに誘導されながら歩いて行く。
その横をAが歩く。
「確かに、いつもゆとりもって起きてますけど、何だかんだでギリギリになっちゃいましたね」
「オレ、これ以上早く起きるのイヤだからね〜」
「フロイドの為にそうしなければいけないのに、何を言っているんですか」
「慣れればもう少し早く出来るようになるだろ？」
「Aさん。どう思います？」
「私は…今の起床時間で良いと思います」
「そうですか。Aさんか良いなら、それで行きましょう」
「オレの意見は無視かよ〜…」
「フロイド。2段、登りの段差がありますよ」
「おっけー」
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月2日 17時
