難しい生活 〜8〜 ページ35
「本当に突っかかってくんな〜…」
「明日から登校するのでしょう？体調を整えるのも、準備の一環では？」
「チッ…」
「じゃぁ…寝ているのが嫌なら、談話室でゆっくり過ごしませんか？」
「うん。そーする〜」
「Aさんは優しいですねぇ」
「ジェイドは帰っていーよ」
「まったく…。フロイドのせいで僕の今日の予定が狂ってしまったと言うのに、そんな言い方をされるなんて…」
「別にこっちから何も頼んでねぇだろっ。ジェイドがかってに首突っ込んできてるだけじゃんっ！」
「フロイド先輩っ！」
「フロイドが一人で出来ない分には放っておきますよ。ですが、それで迷惑を被るのはAさんです。フロイドはそれを分かっているのですか？」
「ジェイド先輩っ、それは言い過ぎですよ…」
「いいえ。一人じゃ出来ないくせに口だけは偉そうな事ばかり…。どれだけ周りの協力が必要なのか、フロイドに分からせなくてはいけません」
「偉そうなのはどっちだよ…」
フロイドがジェイドに食って掛かると思っていたが、意外にも静かに言い返しただけだった。
双子の言い合いは双子にしか分からない何かがあるようだった。
「とにかく。明日の朝は僕がこちらにお迎えに来ます。兄として、フロイドがどの様に登校出来るのか、見届けなくてはいけませんから」
「勝手にしろよ…」
「ええ。勝手にそうさせてもらいますよ」
Aは何も言えなくなってしまった。
それから少ししてジェイドは帰った。
Aはフロイドと談話室へ移動した。
「頭痛とめまい、大丈夫ですか？」
「うん」
「明日から本当に授業なんて受けられるの？」
「Aまでジェイドみたいな事ゆーのかよ〜」
「本当に心配してるんですよ…」
「大丈夫。Aの送り迎えもするしぃ、たまには久しぶりに部活も出よっかぁ〜」
「こんなにフラフラしてるのに何言ってるんですかっ！頭痛だって襲ってきたらどうするんですかっ」
「……そんな事言ってたらさ、前に進めなくね？」
「えっ……」
「もし、そうなっちゃったらさぁ、みんなに迷惑かけちゃうけど、諦めるしかないじゃん。それが怖くて何もしない方が、オレはイヤだね〜。それならみんなに迷惑かけちゃった方がよっぽどいーわ〜」
「迷惑かけてるって…分かってるんですね…」
「そりゃそーだろ。目が見えなくて誰の助けも必要としない生活なんて、ムリだろ？」
「口だけは偉そう…」
「うるせぇ〜っ」
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月2日 17時
