難しい生活 〜7〜 ページ34
「フロイド先輩を、説得出来れば良いんでしょ？」
「こんな頑固な奴、説得なんて出来ませんよ」
「そうですよね…。今までそれで嫌がってきたんですもんね…」
フロイドが少しずついつもの表情に戻って来た。
「どうやら薬が効き始めたようです。フロイド、少しは楽になりましたか？」
「…………」
「はやり、眠ってしまいましたね」
「物凄い強い薬なんですね…」
「これは頓服ですからね。毎日飲む薬は痛み止めではなく、めまいを緩和させるものと、それと、…いわゆる安定剤的なものです」
「はい」
「フロイドは副寮長命令は余程のことが無い限り聞き入れます。薬もきちんと飲む様になると思いますよ」
「副寮長命令で移植させるのは？」
「無理です。さすがに聞き入れない、余程の案件ですよ」
「……ですよね…」
「フロイドが目覚めるまで、Aさんを一人にする訳にはいきません。僕がここにいても大丈夫ですか？」
「はい。今は一人になりたくないし…」
「では、今のうちに雨漏りの件も確認しておきましょう」
「よろしくお願いします」
「Aさんはフロイドの側にいてあげて構いませんよ」
「……はい…」
「僕は勝手にオンボロ寮の中で何かしてますから」
「うふふ…。変な言い方…」
「ふふふ。では、何かあったら呼んでくださいね。寝ているフロイドを見飽きたら、僕の所へ来ても良いですよ」
「分かりました」
ジェイドは部屋を出て行った。
ジェイドがオンボロ寮にいてくれるだけで安心出来た。
「フロイド先輩…」
Aもフロイドの頭を撫でた。
「あっ」
ふと赤い糸が見えた。
〜不思議…〜
赤い糸はしばらく見え続けていた。
フロイドが目を覚ましたのは夕方だった。
「何だよ〜。一日が台無しじゃーん…」
「仕方ないでしょう。僕がいる時で良かったですよ。Aさん一人の時だったら大変な事になっていましたよ…」
フロイドがベッドから起き上がる。
しかしフラフラとよろけてしまった。
それをジェイドが支える。
「こんな大きな体、Aさんが支えられる訳ないでしょう？薬、ちゃんと飲みなさいね」
「分かってるよ…」
「フロイド先輩、薬は私がしっかり管理しますからね」
「はいはい…」
「まだ横になっていたらどうです？」
「時間がもったいねぇだろ〜。もう頭痛もしてねぇんだし」
「こんなにフラフラで何が時間がもったいないですか。迷惑かけるくらいなら寝ていてもらった方がこちらはありがたいですよ」
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月2日 17時
