見えない生活 〜4〜 ページ4
「もし、クッキー作って、フロイド先輩が目を覚ましたら、食べてくれるかな…」
「そうですね。何日も食べていませんからね。いっぱい食べるかもしれませんよ」
「ジェイド先輩。クッキー、作りましょう。今日のティータイムにも食べたいし」
「ええ。是非、お手伝いさせてください」
オンボロ寮に着き、2人でキッチンに行く。
「まだアーモンドプードルがあるから、アーモンドプードルクッキー作りましょうか」
「良いですね。では、今からこのクッキーに合う紅茶を考えておきましょうね」
「はいっ。お願いしますっ」
ジェイドもフロイド同様、手際良く材料の準備を手伝っていく。
「さすがジェイド先輩ですね」
「ふふふ。ありがとうございます」
容姿がそっくりなせいもあり、Aはフロイドとクッキーを作っている感覚になりそうになった。
「そうだ、ジェイド先輩。この前、クッキーの型抜きをいっぱい見つけたんです」
Aは作業台の引き出しから型抜きの入った箱を出した。
「これは良いですね。星、ハート、クローバー…、スペード……、……ダイヤ……。ハーツラビュル寮から持ってきたのでしょうか…」
「……ですね…」
「ふふふ。冗談ですよ。型抜きには定番のデザインばかりですから」
「貝とか魚とかの型抜きがあったらもっと良かったですね…」
「いつかフロイドと型抜き探しに出掛けてみては?」
「目が見えないのに?」
「触れば分かるではありませんか。フロイドに変な気を遣う必要なんてありませんよ。今までと同じ様に接してあげた方がフロイドも喜ぶでしょう」
「分かりました」
「そうだ。この型抜きで色々クッキーを作って、フロイドに何の形なのか当ててもらうと言うのはどうですか?きっと、そろそろ目を覚ますでしょうし、もしダメでも、僕たちも楽しめるでしょう?」
「はいっ。何か、一気に楽しみになってきましたっ」
「ええ。僕もワクワクしてきましたよ」
それから2人で楽しみながら生地を作り、型抜きをしていく。
本当に楽しい時間だった。
「だいぶ作れましたねぇ。数回に分けてオーブンに入れないと焼ききれませんね」
「そうですね。でも、きっとフロイド先輩がいっぱい食べてくれますよ。ジェイド先輩もクッキー好きでしょ?」
「ええ。特に今日のクッキーは早く食べたくて仕方がありません」
ジェイドが適当に天板にクッキーの生地を並べていく。
「焼き上がりが楽しみですね」
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年6月2日 17時