目の見えない夜 〜1〜 ページ25
「うん。Aも温かいよ…。こーするの、すっげぇ久しぶり…。何もかも、久しぶり…」
「はい…。帰って来てくれて、嬉しい…」
「今日もAの身体、洗ってあげるね〜…」
「ありがとう…。私も、フロイド先輩の身体、洗いますね」
2人は手を繋いで浴室に入って行った。
少し時間はかかったが、フロイドはAの身体を綺麗に洗った。
Aもフロイドの身体を洗い、シャワーを終えた。
そしてすぐにAの部屋へ向かう。
「抱っこ出来なくてごめんね〜。さすがに慣れてないのに抱っこして階段登るのは危ねぇじゃん…。そのうち出来るようにするからさ〜」
「こうやって手を繋いで階段登るのも良いですよ」
「オレはAを抱っこしてベッドに連れて行きたい」
「はい…。また楽しみに待ってますね…」
「うん」
フロイドが手探りでAの部屋にAを連れて行く。
「マジで久しぶり…。………何も変わってないねぇ」
見えていないのにフロイドがまるで見えているかのように言った。
そしてAの手を引っ張り、ベッドがある方へゆっくりと歩いて行く。
「この辺?」
「もう少し奥です」
「うん」
フロイドが手でベッドを触る。
掛け布団も捲る。
「A、ここに座って」
フロイドがベッドをポンポンと叩いた。
「はい」
Aはフロイドに言われた通りにベッドに座る。
「ベッドに寝かせてあげるね」
「はい…」
座ったAの背中と足を探し、フロイドが持ち上げた。
そのままベッドの少し奥にAを優しく寝かせた。
そしてフロイドもベッドの中に入る。
「これくらいしか出来ないけどぉ、今は我慢してね。その代わり、今からすっげぇ嬉しい事、いっぱいしてあげるからね…」
「はい…」
「緊張してる?」
「少し…」
「カワイイねぇ〜…。大丈夫だよぉ。オレがすぐにそんなの無くしてあげるから…」
フロイドの顔がAの目の前にある。
フロイドはAを見つめているつもりだろう。
焦点が合うことのない義眼をAは見つめた。
「真っ暗なの?」
「うん」
「怖く…ない?」
「うん。Aがいるから怖くないよ…」
フロイドの顔が更に近付く。
そして唇の端にフロイドの唇が触れた。
フロイドは黙ったまま唇を少し動かしてキスをし始めた。
「最高っ…」
一度キスをやめ、フロイドがニッコリ笑った。
「最高過ぎて…オレ…、おかしくなりそうだよ…」
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年6月2日 17時