フロイド 復活 〜5〜 ページ21
「はいっ。ありがとうございます」
正直、ヒヤヒヤして見ていた分、疲れがどっと来た。
「夜飯もオレが作るよ」
「もう、今日は休みましょうよ。退院したばっかりにこんなに動いたら、明日に響きますよ？」
「明日も休みじゃーん」
「そうですけど…」
「あ。でも今夜はAをいっぱい抱きたいからぁ、カフェオレごときにこんなに時間かかってる状態じゃ、夕飯出来上がるのが明日の朝になっちゃうかもね〜」
「どれくらい時間掛かったか分かるんですか？」
「何となくねぇ。たぶん30分はかかってるんじゃね？」
「そうですね…」
「やっぱねぇ〜。じゃ、今夜は食堂行こ」
「あの、みんなに見られても大丈夫？」
「何で？関係ねぇじゃん。休み明けからオレも授業受けるんだし」
「聞かれたら…」
「オレ、目の病気で両目を失った事になってんだろ？そのまま言えばいーじゃん」
「分かりました」
「メニューはさすがに読めないからぁ、教えてね〜」
「はい」
夜、2人は食堂へ行った。
白杖を使い、フロイドが園庭を時間を掛けて歩く。
「もう、外は暗いんだろ？」
「はい」
「オレは24時間真っ暗〜」
フロイドがヘラヘラと笑った。
「全然光も感じないの？」
「うん」
「そうですよね…」
「もうすぐ食堂？」
「はい。良く分かりましたね」
「何となくね。いつも行き慣れた道だからだと思う」
「食堂までこの後階段ありますけど…」
「うん。白杖で確認していくから大丈夫〜」
「私の腕、使ってください」
「ううん。横に一緒にいてよ」
「……分かりました…」
カツッ…
白杖が階段に当たる。
「こっから階段だよね？」
「はい」
フロイドが一段ずつ白杖で確認しながら登っていく。
「長ぇなぁ…」
「そうですね…」
ゆっくり登り続ける。
そして白杖が引っかかる所が無くなった。
「次で登り終わりでしょ？」
フロイドが大きく弧を描く様に白杖で地面を確認した。
「はい」
「17段…。おっけー」
「そっか…。階段の数覚えれば、次に登り降りするのが楽になりますね」
「そーゆーこと〜」
フロイドはそのまま歩き始める。
しかし、少しずつ斜めに進んでしまう。
食堂の入口は真正面にある。
〜どうしよう…。教えたほうが良いよね…〜
「フロイド先輩。斜めに歩いちゃってますよ…」
「え？」
「食堂は階段を登り終わったら真正面でしょ？でも、今は少しずつ左にズレていってます」
「………そっか…」
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月2日 17時
