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見えない生活 〜3〜 ページ3

病院に来たジェイドは、そのままフロイドの病室へ向かう。

病室に入ろうとすると、看護師が出てきた。

「リーチさん」

「フロイドの様子はどうですか?」

「まだ意識は戻りません。点滴もまだ外せない状態なので、意識が戻っても、まだしばらくは安静にしていないといけません」

「そうですか。ありがとうございます」

ジェイドがフロイドのベッドの前まで行く。
椅子を出し、座る。

「フロイド…」

左腕には点滴がつけられている。
そして、目は包帯が巻かれ、痛々しい姿だった。

「早く…こんな姿やめて、学園へ戻りましょう…。こんな所でいつまでも寝ている場合ではないでしょう…」

「…………」

フロイドの手を触る。
温かい。
よく見ると、昨日の血がまだ拭き残されている。

「痛いですか…?」

「…………」

「フロイド…」

ジェイドは優しく頭を撫でた。

「Aさんが待っています。早く目を覚ましてください…。以前Aさんを助けて箒から落ちた時も、早く目を覚ましてくれたでしょう?……フロイド…。目を…覚ましてください…」


その日、フロイドが目を覚ますことは無かった。


そして更に丸一日が過ぎた。


フロイドがいない休日。
昨日の夜からジェイドがオンボロ寮に泊まっていた。

朝食を食堂で取り、2人でオンボロ寮に戻る途中、ジェイドが切り出した。

「Aさん。今日は何か予定ありますか?」

「いえ…。特には…」

「そうですか。では、今日は寮でゆっくり過ごしましょうか」

「ジェイド先輩は病院に行くんじゃないんですか?」

「フロイドが目を覚ますまでは、こちらにいようかと思います」

「良いんですか?」

「僕が行ったところで、眠っているフロイドをただ見ているだけですから」

「いつ…、目を覚ますんだろう…」

「早く戻って来て欲しいですよね」

「はい…」

休日はいつもフロイドと過ごしていた。
それが当たり前だった。
出掛けたり、談話室でゆっくりしたり、クッキーを作ったり。

「ジェイド先輩…」

「はい。何でしょう?」

「クッキー…、作りませんか?」

「クッキー?……ふふふ。ティータイムに持って来いのアイテムですね。フロイドと作ったのですか?」

「はい。フロイド先輩凄く手際良くて、クッキーだけじゃなくて色々な物が作れるんですっ。……そっか…、ジェイド先輩は知ってますよね…」

「フロイドが料理が得意なのは知っています。ですが、クッキーも作るとは」

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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年6月2日 17時

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