フロイド 復活 〜3〜 ページ19
「いつもと同じ唇…」
「フロイド先輩も同じですよ」
「目は？」
「オッドアイ…」
「キレイ？」
「……本物の方が綺麗でしたよ…」
「しょーがねーよ…」
フロイドはAを見た。
しかし、焦点が合っていない。
「義眼、怖くない？」
「怖くは無いけど…、何か…私がフロイド先輩の目を見れない感じ…」
「眼帯する？」
「両目の眼帯？アイマスクになっちゃいますよ…」
「だっせぇ〜」
「このままが良いです」
「うん。もう１回、キスしよ」
「はい…」
2人は優しいキスをしばらく続けた。
ジェイドとアズールがお茶を運び、ティータイムが始まる。
今日は4人でクッキーの形当てをしてみた。
はやり目を閉じて形を当てるのは難しく、みんなで盛り上がりながらティータイムを過ごした。
「本当にフロイドだけで大丈夫ですか？」
夕方。
オクタヴィネル寮に戻る時、ジェイドが心配そうにフロイドを見た。
「大丈夫だってぇ〜。ここの建物の中は大体覚えてるしぃ、誰も来ねぇよ〜」
「フロイドが出来ない部分は全てAさんに負担が掛かるのですよ？」
「ジェイド先輩。それは問題ありません」
「そーだよ〜。オレだってAに負担掛けるような事しねぇし」
「ジェイド。2人がこう言っているのです。一晩くらい、様子を見るのも良いのでは？」
「一晩じゃなくてずっとで大丈夫だよ〜…。どんだけ信用ねぇんだよ…」
「当たり前でしょう。フロイドは目が見えないのですよ？」
「ジェイド。もう帰りますよ。何かあればフロイドが連絡をよこすでしょう」
「……分かりました…。Aさん。困ったことがあったら、フロイドに電話させて僕を呼んでくださいね」
「ありがとうございます」
「では、2人で頑張ってくださいね」
「はいはい…」
ジェイドとアズールはオンボロ寮を後にした。
「ジェイドは心配し過ぎなんだよなぁ〜…」
談話室でクッキーを食べながらフロイドがブスっとした。
「ジェイド先輩が普通だと思いますよ？」
「Aもオレの事、心配してんの？」
「もちろん心配はしてますよっ。でも、フロイド先輩は強いし、自分で出来ることは人に頼らずやるでしょ？病院にいた時だってそうだったし」
「うん。それと、これからもAを守ってあげるよ」
「はい…」
「このひよこのクッキー、顔描いた？」
「え？」
フロイドが持っていたクッキーをAに見せた。
ひよこのクッキーに目がある。
Aが描いたのだ。
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年6月2日 17時
