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見えない生活 〜14〜 ページ14

2人で何度かクッキーの形当てをやっていると、病室のドアがノックされた。

「フロイド。入りますよ」

ジェイドが病室に戻って来た。

「ふふふ。結局、僕もカフェオレを注文してしまいました」

「ありがとうございます、ジェイド先輩」

「どういたしまして」

ジェイドがテーブルにカフェオレを置く。

「アイスカフェオレですよ。こんなに暑いと温かい飲み物は飲めそうになかったので」

「ふーん。外は暑いの?」

「ええ。僕がマミーになりそうでしたよ」

「あのさぁ。ここ、どこなの?街の病院?」

「熱砂の国です」

「はぁ?熱砂の国?」

「こちらの病院には、凄腕の眼科医がいらっしゃるので、僕が決めました」

「さっきオレに鎮静剤打ったヤツ?」

「ええ」

「それにしたって、わざわざ他の国に来るなんて大袈裟だろ」

「そうですか?闇の鏡を使えば街の病院へ行くよりよっぽど早いでしょう?」

「やっぱりコソコソとオレの知らない所で動いてたんじゃんっ…」

ブスっと口をへの字に曲げながら、フロイドがテーブルに置かれたカフェオレを手で探した。

Aがフロイドの手の近くにカフェオレを移動させようとした。
しかしジェイドが音も立てずそっとAの手を押さえた。

Aは黙ったままジェイドを見上げた。
すると、ジェイドは横に頭を振った。

〜そっか…。変に気を遣うなって事だよね…〜

Aは静かに手を下ろした。

フロイドはタッパーに手がぶつかり、クッキーを落としそうになった。
何とか落とさずタッパーを少し奥に移動させ、やっとカフェオレを見つけた。

「冷てぇ〜」

両手で慎重に持ち、左手で蓋やストローを確認する。
そしてストローの先端を指で挟みながら口を付けた。

Aはフロイドの一連の行動を見守った。

「クッキーにはやっぱりカフェオレだよねぇ〜」

「紅茶の方が合いますよ」

「私は…、どっちも好きです…」




「失礼しますー」

クッキーを食べていると看護師がやって来た。

「検温の時間です」

看護師がフロイドの脈拍や体温を測り、点滴をチェックする。

「あら。少し熱がありますね。夕食、食べられそうですか?」

「熱なんてねぇよ…。腹減ってるしぃ」

「美味しそうなクッキー食べてるのに、お腹減ってるんですか?」

看護師がタブレットにデータを入力しながらフロイドに笑いながら聞いた。

「3日も食ってねぇんだから腹減るだろ〜?」

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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年6月2日 17時

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