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見えない生活 〜13〜 ページ13

「ジェイドに買わせよーぜ」

「まだ戻って来てませんよ?」

「電話すりゃいーじゃん」

「えっ…」

「オレのスマホ、その辺にない?」

フロイドに言われ、Aは部屋の棚などを探す。

ベッドの近くの小さなテーブルに引き出しが付いている。
その引き出しを開けてみる。

「………」

透明の袋に綺麗に畳まれた、フロイドの部屋着が入っていた。

〜この前…代償払う日にフロイド先輩が着てた服だ…。何…この大量の血…〜

「A?いる?」

「あ、…はい。いますよ。…今、探してるんですけど…」

「どした?なんか焦ってない?」

声しか聞こえないフロイドにはAの動揺が敏感に伝わってしまったようだ。

「だって、早く飲み物飲まないと…、マミーになっちゃうでしょ?」

Aがもう1つの引き出しを開けた。

「ありました」

スマホを手に取り、フロイドの前に戻る。

「サンキュー。テーブルに置いてくれる?」

「はい…」

Aがスマホをテーブルに置くと、フロイドがまた手探りでスマホを探し当てる。
スマホに手が触れ、持ち上げる。
そして画面の位置を確認し、3回タップし、また2回タップした。

『何かお話しください』

スマホから機械的な声が聞こえた。

「ジェイドに電話して〜」

『ジェイド さんに 電話 ですね?』

ポンポンッ…

その直後、呼び出し音が聞こえてきた。

「凄い…」

フロイドはスマホを耳に当て、ジェイドが出るのを待った。

「ジェイドー?」

「おや、フロイド。目が覚めたのですか?」

静かな病室なため、ジェイドの声も良く聞こえる。

「うん。あのさぁ。カフェオレ飲みたーい」

「ふふふ。クッキーを食べているのですね?僕が戻っても大丈夫ですか?」

「うん」

「分かりました。紅茶では無く、カフェオレ。ですね?」

「何念押ししてんだよっ」

「僕が聞き間違えたのかと思ったので。Aさんもカフェオレで良いのでしょうか?」

「うん」

フロイドが返事をしてしまった。

「では、カフェオレを買って戻ります。10分ほどでそちらに着くと思いますので、それまではマミーにならないで待っていてくださいね」

「はいはーい。よろしく〜」

フロイドがスマホをまたテーブルに置いた。

「スマホ、設定し直したんですか?」

「うん。代償払う前にさ、目が不自由でも使えるようにしといたの」

「知りませんでした…」

「うん。じゃ、次はAだよ〜」

「はいっ」

Aも目を閉じてクッキーを1枚取った。

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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年6月2日 17時

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