絶縁の神様 〜10〜 ページ10
「うふ。ほら、やっぱり悪どい事、考えているのでしょう?」
「さあ…?…それで、こんな真夜中に僕をここに呼び出したのは、ただお喋りするためでは無いでしょう?」
「ええ。ジェイドの毒を、この子に入れたらどうなるのか、試してみたかったの」
「僕にAさんを襲えと?」
「でもこれではフロイドが起きてしまうわ。だから、今日はやてめおきましょう」
「フロイドがいなくたって、Aさんが僕を受け入れるとは思えませんがね。それに、生憎、僕はそこまで安い男ではありませんよ。いくらステラのお願いだとしてもお断りです」
「あら。それは残念ね…」
「僕はフロイドの身体が無事であれば、それで良いのです。Aさんをあえて傷つけるなんて、紳士的ではないでしょう?」
「フロイドにキツいおしおきをすると言ったくせに…」
「それはもちろん…。方法ならいくらでもありますから」
「そう。じゃぁ、私は私のやり方で、二人を別れさせようかしらねぇ…」
「どうぞご自由に…」
「ジェイドの事も、とても気に入っていたのに…。なかなか振り向いてくれないのね」
「ふふふ。僕に罰でも与えますか?」
「いいえ。そんな事しないわ。私がジェイドと会いたい時に、こうやってお話ししてくれればね。デートもしてもらおうかしら?」
「こう見えて、僕もなかなか忙しいのですよ」
ジェイドがニッコリ笑った。
「神様のご機嫌を損ねさせると、怖いのよ?」
「それはそれは。気を付けるとしましょう」
ステラがそっとAに近付き、頬に手を当てた。
「ステラ。Aさんに何をしているのです?」
「秘密…」
ステラがクスッと笑った。
「ジェイドの毒も入れられなくなってしまったし、もうここには用はないわ。またジェイドに会いたくなったら来てあげるわね」
「ええ。お待ちしております」
ステラは風のように消えた。
ジェイドもそっと部屋を出た。
そしてオンボロ寮を後にする。
朝。
うさぎのアラームが鳴る。
Aがそれを止めてフロイドに抱きついた。
「フロイド先輩、おはようございます」
「ん…。おはよ…」
目を閉じたままフロイドはいい匂いタイムに突入する。
「フロイド先輩っ」
突然Aが焦った声を出した。
「どしたの…」
「傷痕がっ…」
その言葉にフロイドが飛び起きた。
そして乱暴にAの傷痕を見る。
「なんだよこれ…。めちゃくちゃ薄くなってんじゃん…」
「どうして…」
Aは泣きそうになった。
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年5月1日 15時