フロイドの行動 〜3〜 ページ48
「私がいると…、みんな迷惑するんでしょ？」
「誰がそんなことをっ」
「ステラ…って言う…綺麗な女の人…。あの人、神様なんだって。その人が教えてくれたの…」
「神様？」
側にいるラギーも話を聞いていた。
「コバンザメちゃん。この事は誰にも言うなよ」
「口止め料、くれるなら黙ってるッスよ〜」
「チッ…。こんな時までっ…。分かったからっ」
「オッケーッス！」
その時。
Aが一本前へ踏み出した。
「Aーっ！」
Aはそのまま斜面を滑り落ちた。
そして斜面の途中で何とか止まった。
しかし制服は破れ、手や肘から出血し始めた。
「ううっ…」
Aが苦しそうな表情を見せた。
「Aっ！絶対に、絶対に動くなっ」
「フロイド先輩…。私…、何でこんなところに…？」
「今はそんな事より、オレがAを助けるからっ」
フロイドが斜面に箒を寄せる。
「フロイド先輩っ…怖いですっ！」
「大丈夫！オレがいるだろっ！オレの目を見ろ！」
「はいっ」
ラギーは万が一の為に校舎の壁辺りで待機していた。
「そう。そのまま、オレをずっと見てっ」
フロイドがAに手を伸ばす。
「まず、オレの手に掴まってっ」
「はいっ」
Aも懸命に手を伸ばし、フロイドの手を掴んだ。
フロイドはゆっくり箒を斜面に近づけ、両足で斜面に降り立った。
「もう大丈夫だよ」
「怖かった…」
フロイドがAを抱き寄せた瞬間。
「やめてくださいっ！私は必要ないんでしょっ！」
Aがフロイドを勢い良く突き飛ばした。
フロイドは箒にまたがっていたので何とかバランスを取って落ちずに済んだ。
しかし、Aはそのまま勢い良く斜面を更に滑り落ちて行った。
「Aーっ！」
フロイドは箒で急降下する。
ラギーも落ちてくるAを受け止めようと箒で位置を移動した。
斜面から地面に勢い良くAが落ちて行く。
ラギーもこの勢いでは受け止めきれない。
それでもラギーはAの腕をギリギリで掴んだ。
「うっぐぐっ…」
不安定な箒の上で、ラギーが必死にAの腕を引き上げる。
フロイドもすぐにやって来た。
「Aっ！」
フロイドがラギーの下に回り、Aの胴体を掴んだ。
グラッ…
しかしフロイドはそのままバランスを崩してAを抱きしめたまま箒から落ちてしまった。
「フロイド君っ！」
ラギーが落ちて行く二人を箒で追った。
しかし、間に合わない。
ドスッ
フロイドが背中から地面に落ちた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：魅樹 | 作成日時：2023年5月1日 15時
