フロイドの行動 〜1〜 ページ46
それから数週間が経った。
Aのマインドコントロールは相変わらずだ。
傷痕も薄くなる事がなく、フロイドの毒は効き続けていた。
放課後の部活中。
Aがタオルを洗いに体育館を出た。
「うふっ。なかなか面白いわね〜」
声のする方にAが振り返った。
「えっ…。あなたは…」
「オムライス屋さんで会ったわよねぇ。私、ステラって言う神様なの」
「神様…?」
「そう。あなた、私の言う事を良く聞いてくれるけど…、たまに元に戻ってしまうのよねぇ。何故かしら?」
「……何の事ですか…?それに…、ここは生徒しか入れな…」
「私は神様よ?どこでも現れる事が出来るの」
ステラはAの頬に触れた。
「きっとクリスが何かを仕掛けたのねぇ…。それなら、私ももう少し別の事、してあげるわね」
ステラは風のように消えた。
「あれ…。今…誰かいたような…」
Aが周りを見渡す。
「気のせいかな…」
Aはタオルを洗ってまた体育館に戻った。
体育館ではフロイドが部員たちと真面目に練習をしていた。
盲目になるまで時間が限られている。
少しでもやれることはやっておきたかった。
〜ジェイド先輩…。今頃何してるんだろう…〜
ふと練習中のフロイドと目が合った。
「……私は…、この世界にいちゃ…いけないんだった…」
Aはタオルを持ったまままた体育館を出て行った。
「小エビちゃん…?」
「フロイド。どうした?」
突然動きが止まったフロイドにジャミルが声を掛けた。
「小エビちゃん…また外に行っちゃった」
フロイドはそのままAを追いかけた。
「小エビちゃんっ」
しかしAの姿はどこにもない。
〜ステラかっ!〜
フロイドがクリスを呼ぼうと思った時。
「フロイドっ。何してる。Aさんは?」
ジャミルがフロイドを追いかけて来てしまった。
「チッ…。どこにもいない。小エビちゃんがこんなにすぐいなくなるなんて、おかしいだろ…」
「誰かが連れ去ったのか?」
「だったらもっとヤベェだろっ」
フロイドに焦りの表情が浮かぶ。
フロイドは一度体育館に戻りスマホをバッグから取り出し、また体育館を出た。
手当たり次第Aを探す。
そしてジェイドに電話をする。
「そっちに小エビちゃん行ってない?」
「いいえ。Aさんは一緒ではないのですか?」
「体育館から突然いなくなったんだよ」
「いなくなった?」
もう、言うしかない。
「ジェイドっ。ステラ、知ってるな?」
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年5月1日 15時