ジェイドの考え 〜4〜 ページ45
「フロイド先輩に、見られちゃいましたね…」
「謝らなくて良いのですか？」
「褒めてもらう事が悪い事だとは思ってませんから」
「おや。随分としっかりした意思ですねぇ」
「ジェイド先輩から撫でてくれたんでしょ？」
「ふふふ。そうでしたね。あまりにも可愛いらしくて…つい…」
ジェイドがAの目をじっと見つめる。
「もっと…、私を見てください…」
「……それこそ、フロイドに何をされるか分かりませんよ？」
ジェイドが目を閉じて笑った。
「さ。これから混む時間です。気を引き締めて頑張りましょうね」
「はい…」
クローズまで終始ジェイドとAは仲良く仕事をしていた。
フロイドは二人と関わる事はほとんどなかった。
オンボロ寮までの帰り道。
「ジェイド先輩がね、そろそろキッチンの仕事もやってみないかって。そう言ってくれたんです」
「へぇ。凄いじゃん。A、料理もそこそこ出来るし、戦力になるんじゃね？」
「うふふ。そしたら、またジェイド先輩褒めてくれるかな…」
「そーだねぇ〜。いっぱい褒めてくれるよ…」
「楽しみだな…」
フロイドが突然Aの肩を抱き寄せた。
「Aはオレの彼女だよ？その事、忘れないでね…」
「忘れてませんよ…。フロイド先輩じゃなきゃ…ダメなんですから…」
「うん。知ってる」
フロイドがそのままAにキスをする。
「A…。大好きだよ…」
「はい…。私も…フロイド先輩…大好きです…」
もう一度キスをする。
またいつものAが戻って来た。
しかし、どういう時に戻ってくるのか分からない。
「早くいい匂いタイムしたいなぁ…」
「やっぱり…続けるんですね…」
「うん。やめないよ。いい匂いタイムも、毒を入れるのも」
「そうですか…」
まるでツンデレのようだ。
「今夜は…、別々に寝ませんか？」
「ダメ〜っ。毎日一緒だよ」
「私だって…一人で寝たい時ありますよ…」
「……いい匂いタイムはするよ。それに、別々に寝るって言っても、オレはAの部屋のソファーで寝るからね」
「分かりました…」
「今夜だけだよ？明日からはまた毎日一緒に寝るの」
「束縛は嫌です」
「……そっか…。Aにとったら、それが束縛だったんだね…。気付かなくてごめんね…」
「いえ…」
オンボロ寮に着き、二人の会話があまり無いまま過ごす。
そしてその日は過ぎて行った。
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年5月1日 15時
