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先手必勝 〜1〜 ページ32

「また夜中にステラがAに接触したのかっ?」

フロイドはAからそっと離れてAに布団を掛けた。

「そうみたいだねー」

「しかも、記憶を微妙に残してるじゃねぇかっ」

「だから言ったじゃーん。ステラは平気で悪どい事するよってぇー…」

「毒まで弱体化しやがって…」

「今キミが完璧な毒を与えたくても出来ない事を知っててやってるんだろうねぇ。ははっ。本当に悪どいねぇ」

「お前に出来ることはねぇのかよ?」

「残念だけど…無いなぁ」

「ジェイドにもまだ接触してるのか?」

「ううん。してないみたい。でも、気を付けて。ジェイドより、Aの方がマインドコントロールされるかもしれないから」

「……だろうな…。よりによって、オレたちが寝てる時を狙って来るなんて…。しかも毒を入れたのも知っててだろ?」

「たぶんねー。でもキミもAも朝から頑張ったじゃーん!」

「殺すぞっ!」

「殺せなーい!」

クリスは笑った。

フロイドは深呼吸して気持ちを落ち着かせる。

「オレが契約した事…ステラがAに伝えたみたいだね…。Aは夢だと思ってるし記憶も薄っすらだから今は大丈夫だろうけどさ…」

「契約は知られてないよー。神様でも知ることが出来ないから。でも、いずれはみんなにも分かることなんだよー?隠す必要あるの?」

「分かんない…。でも…、まだ…言いたくない…」

「へぇー…。言っちゃった方が、キミも楽になるんじゃない?」

「気を遣わせたくないんだよ…。Aには、いつものAでいて欲しい。だって、オレが盲目になるって知ったら…、今まででみたいに気楽にオレと過ごす事なんて出来ないだろ?」

「そうだねぇー。Aだけじゃなくて、ジェイドやあの…アズールだっけ?彼らだって、接し方が変わるだろうしねぇ。でも、いずれはそうなるんだよ?」

「なら、オレは、いずれの方がいいよ…」

「Aがマインドコントロールされちゃったら?」

「それで困ったからクリスを呼んだんだよ…」

「ステラのマインドコントロールはね、ステラ本人が解除出来るのはもちろんだし、たまに自力で目覚めることもあるけど、あることをするとマインドコントロールが解ける鍵をステラはいつも作るの」

「鍵?」

「うん。マインドコントロールされた人が、これをすると解除される。みたいなねー。でも、それを知ってるのはステラ本人だけ。他の人にステラが鍵を教えてれば別だけどねー」

「難しいな…」

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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年5月1日 15時

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