契約の時 〜3〜 ページ21
「しょうがねぇよ…。もう変えられねぇんだろ?」
「うん。今までの人は、形だけの代償だったけど、今回、初めてボクが心から欲しいって思った代償だよー!喜んでよー!」
「はいはい…。おめでとう…」
「でもさぁ、そしたらフロイドは盲目になるんだよ?」
「だからぁ、それも分かって契約するのっ!しつこいっ!」
「今のうちに、たくさんの物、見ておかないとねー」
「完璧な毒を貰ったら、絶対3ヶ月は代償を払わなくて良いんだな?」
「神様は嘘つけないって言ってるじゃーん」
「それと、オレの両目を貰って、お前はどーすんだよ」
「フロイドの目をボクの目にするの。絶対似合うと思わない?フロイドの目に変えたら、見せに来るね!」
「テメェっ。嫌味だろっ」
「あ…、そっか…。その時は、フロイドは盲目になってるんだった…。ごめんね…。目を貰うのは初めてだからさ…」
クリスは本当に悪気が無かったようだ。
「で。どうやって契約するの?」
「ボクにフロイドの血を少しだけちょうだい」
「オレの血を?」
「うん。フロイドがAにしてるみたいにボクがフロイドを噛みついても良いけど?」
「気持ちわりぃなっ。イヤだっ」
「えー。じゃぁ…、指をちょっと噛じらせてー」
「お前の口に直接血を入れないとダメなのかよ」
「そうだよ。だって契約だよ?すっごく大事な儀式だもん。間違っても他の人の血が入っちゃダメなんだからねー」
「しょうがねぇなぁ…。で、契約書とかはねぇのか?」
「契約書はないけどー、フロイドの身体に契約の印が刻まれるよー。どこがいい?」
「Aにも知られたくないんだよ」
「そしたら耳の後ろとかー、足の裏とか?」
「……耳の後ろでいーよ…」
「分かったー」
クリスがフロイドに一歩近付いた。
「契約したら、キミの両目の代償は絶対だよ?もちろん、ボクもキミに完璧な毒をあげる。本当に契約して良い?」
「頼む。契約してくれ」
「じゃぁ、指、少し噛むよ?」
フロイドは左手の人差し指をクリスに差し出した。
クリスが指を咥える。
「くっ…」
結構な痛みが指先を走った。
クリスはしばらく動かない。
人差し指がドクドク脈を打つのが分かる。
少しすると右耳の後ろが熱くなってきた。
それは段々熱さから痛みに変わっていく。
耐えられない痛みではない。
そしてクリスがフロイドの指から口を離した。
「契約完了。耳、熱くなったでしょ?」
「うん。どのくらいの大きさの印なの?」
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年5月1日 15時