契約の時 〜2〜 ページ20
「人間と同じように身体もあるのにねぇ。おもしれぇよなぁ〜」
「ボクにとったら、人間の方が面白い生き物だよ？」
「まぁね…」
「キミだってさ、自分の身体を代償にしてまでAをこの世界に留まらせようとするでしょ？」
「それを応援するって言ったの誰だよ…」
「ボクーっ！だってフロイドみたいな人間に出会ったの初めてで、ワクワクするんだよねぇー！」
「こっちは必死だっつってるのによぉ…」
「だから神様がいるんだよ。人間が困った時、神様にお願いして助けてもらう。まぁ、神様も万全ではないから、お願いされても叶えられない事もたくさんあるけどねー」
「お願いを聞くか聞かないかって、自分で決めるの？」
「ううん。ボクたちが頑張っても、ダメなものはダメー。そんな感じだよー」
「じゃぁ、オレの願いもダメな事もあるって事？」
「完璧な毒は大丈夫。間違いなく効くから。ほら、良くさぁ、『○○が出来ますようにっ！』とか、『○○さんと結婚出来ますようにっ！』みたいな奴あるじゃーん。それだよ、ボクたちが叶えてあげられない事もある奴ってー」
「あ〜。そりゃそーだな。一人のアイドルがファン全員と結婚出来るワケねぇもんな」
「そ。だから、神様も万全じゃないってこと。ステラだってそうだよー。みんな、どの神様も同じ」
「神様も大変だな…」
「だから忙しいって言ってるじゃーん」
「じゃ、忙しい神様のためにも、とっとと契約しようぜ」
「本当に良いんだね？」
「しつこいっ。今朝からオレの気持ちは変わんねぇよ。今朝どころか、一度も変わった事ねぇからっ」
「分かった。じゃぁ、もう一度、確認ね。Aに入れるフロイドの毒が効かなくなった時、フロイドは代償を払ってボクから完璧な毒を授かる。代償は絶対。毒を入れるタイミングによっては、Aがこの世界から消える事も承知だね？」
「うん。全部分かってる…」
クリスがうなずく。
「そして、その代償は、毒を授けてから後日ボクが直々に貰いに来るよ。キミの場合は…、そうだねぇ…。毒を授けてから１ヶ月後でどうだい？」
「1ヶ月…」
「もっと欲しい？」
「最長は？」
「3ヶ月」
「じゃぁ…、3ヶ月はダメか？」
「うーん…。ステラの邪魔もあることだし、特別にフロイドだけは良いよー。じゃ、完璧な毒を授けてから3ヶ月後ね」
「分かった…」
「そして、代償は…フロイドのその両目。すっごく綺麗でさぁ…。諦められないんだよねー。どーしても、欲しいの」
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年5月1日 15時
