絶縁の神様 〜2〜 ページ2
「ほらぁ。早く伝えて良かったじゃなーい。それで、今のうちに、Aにもう一回ボクの毒を入れに来てあげたんだよー」
クリスがフロイド肩に手をポンッと置いた。
「スッゴい筋肉してるねー」
「今更かよっ…」
「触ったのは初めてでしょ？」
クリスがもう一度毒を入れてくれると聞き、フロイドは少し怒りが引いた。
それに、クリスの怒りを買ってまた人魚にされるのも困る。
「ははっ。しかも、フロイドの毒、入れたてだー。毒が弱くなると、身体を求めてくるみたいだもんねー」
「知ってんのかよ…」
「うん。理由は誰にも分からないけどね。それに、異世界の人間が、どうしてこの世界にやって来て、どうして特定の人物と恋をするのか。神様のボクにも分からないんだよねー」
「でも、この世界に留まらせる毒を持ってるのはお前しかいないんだろ？」
「そーだよー。だから、ボクは凄い神様なの」
そう言うと、クリスがベッドに膝をついて眠っているAの額に人差し指を当てた。
「良かったねーA。さっそくフロイドの毒、もらえたんだねー。また、長持ちさせてあげるから、大丈夫だよ」
「また…4ヶ月か…？」
「うん。嘘はダメだからさ」
「ステラにまた弱くさせられる可能性は？」
「…あるよ。でも、もう、してこないと思う。ステラは一度使った方法は使わないタイプだからさ」
ベッドから降り、クリスが眠っているAを見つめる。
「ステラは何の神様なんだよ…」
「絶縁の神様。ボクと逆なんだー。ははっ」
「笑い事じゃねぇよ…」
「恋の神様と、絶縁の神様。二人に気に入られて、フロイドは凄いねぇー」
「めんどくせぇ…」
「でも、ステラには気を付けてね。気に入られると、厄介だからさ」
「お前の姉ちゃんなのに、オレにそんな忠告してくれるなんて、裏があんじゃねぇの？」
「神様は嘘つけないんだよ？裏があったらダメじゃーん。何言ってんの？」
クリスは真顔だった。
逆にそれが怖い。
「どう気を付ければいーんだよっ…」
「絶縁の神様はね、あらゆる手段を使って二人を別れさせるの。結構、人気あるんだよ〜！今度、ステラのパワースポット行ってごらんよ。たくさんの人が恨みやら嫉妬で別れさせたい願いを込めまくってるから」
「興味ねぇよ」
「ほら、そういうところ、ステラに気に入られちゃうトコだよー」
クリスが今度はニヤリと笑った。
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年5月1日 15時
