兄弟の思い 〜2〜 ページ23
「小エビちゃん一人で待てるっつーから、降りてきたの。これはオレが決める事だから二人には関係ねぇだろ…」
「僕たちの協力がなければ、お前はここまでたどり着けなかったはずですよ。それを自分だけで全てを決めようなんて、虫が良すぎるでしょう…」
「何か手掛かりを掴めたようですね」
ジェイドが3人分のお茶を淹れてテーブルに置く。
「フロイド。アズールは心配しているのですよ。僕だって、もしあの自叙伝が本当であれば、フロイドの兄として、放って置く訳が無いでしょう?」
「小エビちゃんを諦めろっつーのかよっ」
「他の方法が無いのなら、その選択肢は必須になるでしょうね」
「ジェイドだってそう言っているんだ。Aさんでなくても、この世界にはたくさん女性がいるではないですか。しかも、何のリスクも無く恋愛が出来るのですよ?」
「アズールだって、しょせん他人事だろ」
「その前に、ジェイドに先程の話しを全て伝えなくては先に進めません」
アズールは出版社での出来事をジェイドに話した。
「では、筆者とも、近々お会いする事が出来るのですね?」
「フロイドの話しを信じてくれていましたから。恐らく筆者にもきちんと伝えてくれるでしょう。アポが取れ次第、僕に連絡をくれる事になっていますから」
「Aさんには?」
「言う訳ねーだろ…」
「それにしても驚きましたね。担当者が同じ経験をしていたなんて…」
「シャチさんだって旦那さんをこの世界に留めるために代償を払ったんだ。オレにだって出来るよ…」
「ですが、代償が身体のどの部分になるのか分からないのに契約するのは危険では無いですか?」
ジェイドが難しい顔をする。
「筆者は両足…。ウェイさんは左腕…。統一性は無いようにも思えますね。ま、二人しかデータが無い以上、予測のしようがありませんがね…」
アズールがため息をつく。
「僕は…、フロイドが楽しくて、幸せなら良いと思っていました。ですが、今回は話は別です。フロイドの身体が欠損するなんて、ダメですよ。例えそれがどの部分であっても、僕は賛成出来ませんね」
「何でだよ!別に死ぬ訳じゃないだろっ」
「フロイドが大好きなパルクールや、バスケットだって出来なくなるかもしれないのですよ?それだけではありません。将来、職に就くとして、ハンデがある人間は不要にされる事だってあります。それに、必ずAさんと結婚するとは限らないでしょう?」
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年4月23日 16時