兄弟の思い 〜4〜 ページ25
「アズール。まさか寮長命令でオレと小エビちゃんの邪魔するなんてこと、しねぇよな？」
「恋愛を寮長命令でとやかく出来るものでは無いでしょう…。とにかく、これ以上やりあうなら、本当にペナルティを課しますから。二人とも、そのつもりで」
フロイドは乱暴にソファーに座った。
ジェイドはフロイドの向かいのソファーに座る。
「例えジェイドだろうと、オレたちの邪魔したら、ぜってぇに許さねぇからなっ…」
「邪魔なんてしませんよ。僕はフロイドに冷静になって欲しいだけですから」
「やれやれ…。この歳にもなって兄弟喧嘩ですか…」
結局、フロイドの件については何も話し合う事が出来なかった。
ただ、フロイドの考えにはジェイドもアズールも反対だった。
オクタヴィネル寮に戻る途中、ジェイドとアズールはフロイドの話しをした。
「僕だってAさんは良い子だと思いますよ。でも、それとフロイドの身体を代償にするのは話しは別です」
「しかし、あそこまで熱くなるフロイド、初めて見ましたよ…」
「ええ。僕も正直、驚いています」
「ジェイドがそう言うくらいなのだから、本当に真剣な恋なのかもしれませんねぇ」
「冗談じゃないっ。どうせしばらくすれば、いつものように飽きて普段通りの生活に戻りますよ」
「ま、そうなって貰わなければ困りすけどね…」
二人ともフロイドが心配でたまらなかった。
「小エビちゃん、お待たせ…」
Aの部屋に戻ったフロイドがベッドに直行する。
「小エビちゃんっ？」
反応は無いが、物凄い汗が出ている。
フロイドはタオルでAの汗を拭く。
首を触ると今までの様な熱さが引いていた。
〜熱がさがったのかな…〜
出来れば部屋着も替えてあげたい。
汗でビショビショだろう。
「小エビちゃん？」
寝息を立てて眠っている。
無理に起こさない方が良いと考え、Aが目を覚ますまでフロイドはもう一度自叙伝を読み返すことにした。
特に後半。
自分の毒が効かなくなってきたところ辺りから良く読み直す。
──ついに数日に一度の間隔で毒を与えなくてはならなくなり、私も彼女も体力的にも疲れ始めた。
しかし、消えたくない一心で、私は彼女に体液を与え続けた。──
〜結局さぁ…。オレの場合は噛みつき続けるって事だよね…〜
想像するだけでAが気の毒になる。
〜それとも…、オレも筆者のように…〜
フロイドは考えるのをやめた。
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年4月23日 16時
