ウツボが好き過ぎる 〜8〜 ページ8
「ふーん。持って来れたのは、これだけだったんだ」
フロイドがウツボの頭をポンポンと叩く。
「夢…じゃないんですよね…?」
「うん。現実。あのさ。このウツボ、オレの色に変えて良い?」
「えっ?」
「だって、オレの髪の色、綺麗なんでしょ?ならさ。こんな変な色のウツボより、オレみたいな色のウツボの方が良くね?」
「でも…」
「気に入らなければ元に戻せばいーじゃん」
「元に戻すって…。って言うか、どうやって色を変えるんですか?」
「オレの魔法で」
「魔法…」
Aは少し興味を持った。
魔法なんて自分の世界には存在しない。
だから、魔法がどんなものか見てみたい。
「そ。別に大した魔力を使う訳じゃないから、全然余裕で出来るし」
「じゃぁ…。元に戻せるなら、変えてみてください」
「おっけー。じゃ、見てて」
フロイドがマジカルペンを出し、ウツボの抱き枕に向ってペンを軽く振った。
「凄いっ…」
茶色かったウツボが一瞬で綺麗な青緑色に変わった。
「どお?」
「綺麗…。本当に、フロイド先輩の髪と同じ色になった…」
「こっちの方がウツボっぽいじゃん。っつーかさ、これが本物のウツボの色だっつーの」
「初めて見た色なんですけど…」
「はあ?小エビちゃんの世界のウツボって、どんだけダサいんだよぉ…」
フロイドがブスっとする。
「うふふ。さっきの色が、私の世界では普通のウツボです」
「ダッセぇ…。で、元に戻すの?」
「いえ。この色のままが良いです」
「ほらね。気に入ったでしょ?今夜からは、この綺麗なウツボを抱っこして寝れるじゃん」
「はいっ。ありがとうございます」
Aが微笑んだ。
「で、小エビちゃんの部屋はどこにするの?」
「ああ…。部屋がたくさんあり過ぎて、どうしよう…」
「二階の部屋にすれば?そしたら、オレの部屋は一階にするー」
「本当に、フロイド先輩の部屋、作るんですか?」
「うん。何で?小エビちゃんだって、一人より、誰かいた方が良いでしょ?」
「確かに…。怖いかも…」
「じゃあさ。しばらくはオレがここに泊まってやるよ」
「本当に良いんですか?」
「オレが良いって言ってんだから良いんだよ…」
フロイドがまたブスっとした。
「ありがとうございます。じゃぁ、よろしくお願いします」
「おっけー。二階、行ってみよ?」
「はい」
二人はAの部屋を決めるために二階へ移動した。
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年4月19日 9時