ウツボが好き過ぎる 〜6〜 ページ6
「アズール先輩もそうですが、ジェイド先輩とフロイド先輩って人魚なのに、どうして人間なんですか?」
「ふふ。ジェイド。Aさんにはこの世界の事、1から全て丁寧に教え手差し上げる必要がありますねぇ。まぁ、当たり前と言えば当たり前ですがね」
「ええ。では、僕がその役を担当いたしましょう」
その後、Aはジェイドからこの世界の事を色々教えてもらった。
人魚が人間に変身して陸に上がり、陸で生活する。
ほとんどの人魚はそんな事しないらしい。
〜うふふ…。でも、私の大好きなウツボが…、ウツボの人魚がこんなに身近にいるなんて!元の世界に戻りたいけど、少しこの世界でウツボの人魚たちと戯れてみたいっ…〜
Aは内心、少し喜んでいた。
ホームシックより、ウツボ愛が勝った。
放課後。
生徒たちが午後の授業を受けている間に、学園長からオンボロ寮に案内されたAは、自分が生活出来るように部屋を掃除していた。
「小エビちゃ〜ん!」
〜今の声は…〜
談話室の掃除をしていたAの元へフロイドがニコニコしながらやって来た。
「えっと…、フロイド先輩…ですよね?」
「うん」
「良かった…」
「何が良かったの?」
「フロイド先輩とジェイド先輩って、そっくりだし…、今日出逢ったばっかりで違いが…まだ分からなくて…」
「ふーん。オレの方が1センチ背高いよ」
「1センチ…って…。それだけじゃ…」
「あとぉ、このメッシュの向き。オレとジェイド、逆だよー。オレはこっち」
「なるほど…。もしかして、ピアスも逆ですか?」
「うん」
「少し、分かった気がします。ありがとうございます」
フロイドが談話室をぐるりと見渡す。
「こんなボロボロの部屋。住むの嫌じゃないの?」
「仕方ないですよ…。その、オクタ…ヴィネル寮でしたっけ?部屋、余ってないんですよね?」
「そーみたい。それにぃ、男しかいな〜い…」
「……ある意味…、ここで良かったかもしれないです…」
「ふーん。じゃ、オレもここの一部屋、借りよっかな〜」
「えっ?何でですかっ?自分の部屋、オクタヴィネル寮にあるんですよねっ?」
「うん。あるよ。でもぉ、他にもオレの部屋があれば飽きないじゃん?」
「…それって…、私とフロイド先輩が二人だけでこの寮に住むって事…ですよね…?」
「別に毎日じゃないかもしれないけどー」
「寮長のアズール先輩に怒られるんじゃ…」
「アズールは何も言わねーよ」
10人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:魅樹 | 作成日時:2023年4月19日 9時