突然の別れ 〜4〜 ページ50
「学園長。また闇の鏡が新たな言葉を発言する事がありましたら、僕たちに教えて頂けませんか。彼女のお世話はフロイドが担当していたもので」
「ええ。そうしましょう」
「………」
「フロイド。Aさんはきっと戻って来ますよ。今はそれを待つしか出来ません」
「……オレが、迎えに行ければ良いのに…」
「異世界へ転移するなんて、聞いたことがありませんよ…」
学園長があきれた。
「でも小エビちゃんは、そうやってここに来たんだろ?」
「まあ、そうですけど、彼女が特異体質なだけかもしれませんし。今はこれ以上の事は分かりかねます。フロイド君、今日はこれくらいにしましょう」
3人は鏡の間を出て行った。
「アズール。オレ、小エビちゃんがいつ戻って来ても良いように、オンボロ寮で生活するよ」
「……そう言うと思いましたよ…。ですが、フロイドが在学中に戻って来る保証はありませんよ?」
「分かってるよっ、そんなことっ…。でも逆に言えばさ、明日戻って来る可能性もあるってことだろ?」
「……ええ…。かなりポジティブ思考ですがね」
「じゃ、このままオンボロ寮に行くわ。ジェイドに伝えといてね〜」
「フロイドっ!」
オクタヴィネル寮に帰る途中に、フロイドは踵を返し、オンボロ寮へ向かった。
「はぁ…。あんなフロイド、見たことがない…」
アズールはフロイドの後ろ姿を見てため息をついた。
オンボロ寮についたフロイドは、談話室に入り、ソファーに座る。
つい数時間前までここにAと一緒にいた。
「小エビちゃん…」
談話室はあまりにも静かだ。
たった数日しかAと過ごしていないのに、物凄く胸が苦しい。
いつAが戻って来るか分からない状態で、待ち続ける。
フロイドにとっては苦しくて仕方がない。
「明後日オレと街デートするんじゃなかったの…?」
フロイドは一人呟いた。
ショックで食欲が無くなった。
こんな経験初めてだ。
フロイドは夕飯も食べず、シャワーを浴びてとっとと寝ることにした。
シャワーを浴びて二階に行く。
部屋の前で止まる。
フロイドはクルッと向きを変え、Aの部屋のドアを開けた。
ベッドの前まで歩いて行き、ウツボの抱き枕を持つ。
そして部屋を出る。
「ウツボちゃん。オレと寝よ…」
フロイドは自分の部屋にウツボの抱き枕を持って行き、一緒に寝ることにした。
「早く…戻っておいでよ…」
フロイドはウツボの抱き枕に話しかけながら眠った。
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年4月19日 9時