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突然の別れ 〜2〜 ページ48

フロイドはそのままベッドにうつ伏せになる。

今朝、このベッドで二人で起きた。
抱きしめていい匂いを嗅いだ。

「小エビちゃん…」

Aを抱きしめた感覚を思い出す。
つい先程まで抱きしめていたのに。

フロイドはしばらくそのままベッドでうつ伏せになったまま動かなかった。

そして。

無言でゆっくりと起き上がり、ダルそうに部屋を出る。
階段を降り、そのまま寮を出て行く。

フロイドはオクタヴィネル寮に向かった。

モストロ・ラウンジのバックヤードの入口のドアを乱暴に開ける。

「おや、フロイド」

バックヤードではジェイドがスタッフに指示を出していたところだった。
ジェイドはさっさと指示を出し、スタッフを追い出した。

「Aさんは一緒ではないのですか?」

ジェイドが仏頂面のフロイドに笑顔で聞いた。

「いなくなった…」

「いなくなった?」

「たぶん…、元の世界に帰っちゃったんだと思う…」

「おや…。どうしたことでしょう…。フロイドの目の前から消えたのですか?」

「寝てる間に、起きたらいなくなってた…」

「いつです?」

「少し前。夕方、お茶して…。……ゆっくりしててさ…。ソファーで二人で寝てたんだけど…」

「そうですか…。寝ている間にいなくなってしまったのですね?」

「あのウツボのぬいぐるみは、そのまま残ってるんだよね…」

「Aさんがこちらの世界に来たのも、眠っている間だったとおっしゃっていましたよね」

「うん。小エビちゃんさ、家で飼ってるウツボに手を噛まれて、その日の夜にこの世界に来たから、そのウツボが関係してるんじゃないかって言ってたんだよねぇ…。確かにさ、ウツボに噛まれた傷の割に、治りが早いなぁって思ったんだけどさぁ…」

「そんな事が…。ですが、こちらの世界にAさんが来た方法がはっきりしない以上、またいつ戻って来れるのか、分かりませんよね。二度と戻って来ない可能性も否定出来ませんし…」

「オレは待つよ。小エビちゃん来るの」

「フロイド…」

「闇の鏡ならさ、何か分かるかもしれないじゃん。小エビちゃんが来るの予言したんだから」

「鏡の間には学園長の許可無しでは入れませんよ」

「学園長に小エビちゃんがいなくなったの言えばいーじゃんっ」

「もちろんです。まずは学園長に報告しなくてはいけません」

「オレ、今から学園長のところに行ってくるよ…」

そう言うと、フロイドは一人バックヤードを出て行った。

「待ちなさい、フロイドっ!」

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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年4月19日 9時

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