二人の時間 〜7〜 ページ45
「そっか…。帰りたい?」
「フロイド先輩と離れるのは嫌です…。でも、帰らないと、ウツボちゃんが死んじゃうかも…」
「あのさ。小エビちゃんの世界とこの世界って、時の流れとか同じなのかな」
「どうなんだろう…」
「一日が24時間で、一年が365日。これは?」
「同じです」
「不思議だよねぇ…」
「違う世界なのに、同じ生きてる…。学生も一緒…。好きって思う気持ちも同じ…。人間っていう生物は共通…」
「うん。同じところだらけだよね」
「夢…じゃないんですよね?」
「うん。現実」
Aはまた手の傷を見た。
「ウツボちゃんに噛まれた日の夜…寝てる間にこの世界に来た…。そしてウツボの人魚のフロイド先輩と出逢った…。ウツボちゃんに何かヒントがあるんでしょうか…」
「どーなんだろーね…。でも、オレは小エビちゃんに元の世界に帰って欲しくないよ。ずっとこっちにいて欲しい」
「帰りたいけど、帰りたくないです…」
「うん…。もう、考えるの、やめよ…」
「はい…」
「あのさ、明後日、街に行くでしょ?」
「はいっ。楽しみです!」
「オレと二人だよ〜」
「ジェイド先輩が言ってましたけど、やっぱり、デート…みたいですね…」
「うん。好きな服、いっぱい見て、いっぱい買おうね」
「いっぱい見るのは良いけど、そんなにたくさん買って良いのかな…」
「アズールが何とかするからへーきだよ。心配いらな〜い」
「うふふ。分かりました」
こうしてティータイムが過ぎて行った。
キッチンに食器を下げて片付ける。
「夕飯は食堂でいっか」
「分かりました。明日、食材買って、夜作りますか?」
「明日部活あるんだよねぇ。小エビちゃんも来てくれるなら、オレ行くよ〜」
「フロイド先輩の部活なのに…」
「それで、来てくれる?マネージャー、やるんでしょ?」
「はい。私で良ければ」
「じゃ、決まりねー。そしたらやっぱり明日の夕飯も食堂がいーなぁ〜」
「そうですね。また次の機会に作りましょう」
「おっけー」
二人はまた談話室に戻った。
「フロイド先輩…」
「なぁに?」
「あの…、キス…教えてくれませんか…?」
「………今日はやめよ…」
「どうして?」
「……小エビちゃん、また怖くさせちゃうかもしれないし」
「フロイド先輩なら、もう、怖くないですよ」
「……でも、教えるのはまた今度ね…」
「……そうですか…」
フロイドがソファーにゴロンと寝転がった。
「うん…」
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年4月19日 9時