ウツボが好き過ぎる 〜5〜 ページ5
「でもさ。小エビちゃんって、魔法使えないんでしょ？何しにここに来たの？」
「私が聞きたいくらいです…」
「それに、僕たちが知らない世界からやって来た謎の人間…」
「私はただ、夜ベッドで寝てただけなのに…」
「その変な色のウツボを抱っこして寝てたの？」
「変な色のウツボって…。ウツボはこの茶色が素敵なんじゃないですか…」
「ああ？そんな色、ウツボじゃねーし！」
「フロイド。食事中です。他の生徒たちにも迷惑ですよ。静かにしなさい」
学園の食堂で昼食を取っていたAを、周りの生徒たちがジロジロと見てくる。
「ジェイドはこんな変な色のウツボをウツボとして認めるのかよ…？」
「いいえ。認める訳がないでしょう？」
「あの…。みなさんは、ウツボと何か関係があるんですか？さっきも…ウツボの人魚とか言ってましたけど…」
「関係があるのは、この双子だけですよ」
アズールが冷たく言い放つ。
「ふふふ。僕たちはウツボの人魚なのです。ちなみに、アズールはタコの人魚ですよ」
「ウツボと…タコの…人魚…。人魚って、おとぎ話に出てくるだけじゃないんですか…？」
「Aさんの住む世界では、そうなのかもしれませんが、このツイステッドワンダーランドには、妖精族や獣人族など、多様な人たちが住んでいます。そして、あなたの世界には無いという、魔法も使える。全員ではありませんが、この学園にいる生徒は優秀な魔法士の卵ですから、みんな魔法が使えるのですよ」
「凄い…ですね…。尚更…、何で私がこんな世界に来ちゃったんだろう…。やっぱり、夢…？」
「さっきも言ったでしょう？これは、現実です」
「そんな…。いつ、どうやって帰れば…？」
「さぁ。闇の鏡があなたを選んだ訳ですからね。その闇の鏡ですら、帰り方を知らないと言うのですから。諦めたらどうです？」
相変わらずアズールは冷たい。
「別に帰れなくたっていーじゃん。めんどくせぇ…」
「ふふふ。フロイドはAさんの事がお気に入りのようですね」
「オレ、先に外に出るわ…」
「おや。午後の授業、サボらないでくださいね」
「はいはい」
フロイドは一人食堂を出て行った。
「………」
「どうしました？Aさん」
「あの…、お二人は…」
「ジェイド、フロイド。と、呼んで構いませんよ。あぁ、Aさんは１年生ですから、『先輩』をつけた方が呼びやすいですかね？」
「はい…」
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年4月19日 9時
