フロイドの抱擁力 〜5〜 ページ36
フロイドが真面目な声で囁いてくる。
「……フロイド先輩の…したいように…してください…。私も…フロイド先輩から…離れたら、たぶん死にます…」
「死んじゃダメ…。死なせないよ…。オレ、離れないから…大丈夫」
「お願いします…」
二人はお互いにどうしようもないほど惹かれ合ってしまった。
「出逢ったばっかりなのにねぇ〜…」
「フィーリングですよっ…」
「ふふーん…。それ小エビちゃんが言う?」
「好きになっちゃったんだから、しょうがないじゃないですかっ…」
「それも言う?」
「言いますよっ…。本当に…フロイド先輩が…大好きになっちゃったんだもん…」
「オレもだよ…。小エビちゃん…。オレの側にいて…」
「もちろんです…。私を一人にしないでくださいね…」
「誰に言ってんの?オレがそんなこと、するワケないじゃん」
「……マネージャー…、やっても良いですか?」
「バスケ部の?」
「はい」
「オレの側にいたい?」
「はい。フロイド先輩も、私がいる方が安心でしょ?」
「うん。オレのカッコイイところ、たくさん見せてあげる〜」
「筋肉、見放題…」
「オレを見ろよ…」
「フロイド先輩の全部、見たいです…」
「裸も?」
「朝から何言ってるんですかっ」
「そのうち見せてあげるから…」
フロイドがまた首筋に唇を当てた。
「今は、これだけね」
「はい…」
「あっ!来た来たっ!Aーっ」
フロイドに付き添われ、Aがクラスの教室近くまで来ると、エペルが走ってやって来た。
「おはよう、エペル。どうしたの?」
「おはよう、A。ああ…えっと、フロイド先輩、おはようございます」
「おはよ、グッピーちゃん」
「さっき、カリム先輩がAを探しにうちのクラスまで来たんだよ…」
「カリム先輩って…?」
「ラッコちゃんが?……スカラビアの寮長だよ…」
「スカラビアの寮長…」
不安な顔をしてAがフロイドの顔を見上げた。
「オレも一緒に行ってやるから…」
「はい…。お願いします…」
クラスの前に一際派手な人がいる。
「あれ?ジャミル先輩…」
「ああ。ウミヘビくんはスカラビアの副寮長だからね」
「そうなんですか…」
「おっ!お前がAか?」
「はい…。そうです」
「カリム。初対面の、しかも女性に対してその言い方はやめろ」
ジャミルがカリムを叱る。
「あぁ、すまんっ…」
カリムが一度大きな深呼吸をして落ち着こうとした。
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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年4月19日 9時