登校初日 〜8〜 ページ28
Aがフロイドの手に自分の手を合わせた。
「でっかっ…！」
「手もちっちぇ〜…。オレの半分しかねぇじゃん」
「半分は大袈裟ですよ！フロイド先輩の第2関節よりは…、ほら！」
「ああ？それでもちっちぇのには変わんねぇじゃん。指も細いし、オレが握ったら折れちゃいそう」
フロイドがそのまま少し位置をずらして指の間にAの指を挟んで軽く握った。
〜こっ…、恋人繋ぎっ！〜
「これでも痛いんじゃね？」
「えっ…？だ…大丈夫です…」
「どーしたの？」
「いえ…。凄く、手…指がっ…」
動揺して上手く会話が出来ない。
「ふーん。もしかしてぇ、また照れてんの？」
Aが黙ったままうなずく。
「カワイイ…。じゃ、寮までこのまま帰ろ」
フロイドがニコニコしながらAと手を繋ぎ続けた。
Aもそのままドキドキしながら歩き続けた。
寮に着き、玄関ドアをフロイドが開ける。
フロイドが玄関に足を踏み入れた途端、突然止まった。
「フロイドせっ…」
Aが言いかけた時、フロイドが口元に人指を当てた。
そして首を横に振る。
「誰かいる…」
フロイドが小さな声で言った。
そして上を見上げる。
ゴトン…
二階から微かに物音が聞こえた。
Aは昨日の恐怖が蘇り、思わずフロイドの背中をギュッと掴んだ。
それに気付き、フロイドがAの肩を抱き寄せる。
フロイドはAを抱き寄せたまま、ゆっくりと廊下を進み、階段の下の死角に身を隠した。
二階の廊下では足音が聞こえる。
Aが震え始めた。
「大丈夫。オレがいるよ…」
フロイドが背中を擦ってくれた。
ついに階段を降りてくる足音が聞こえてきた。
フロイドは息を潜め、二階から降りてくる人物を取り押さえるタイミングを見計らう。
フロイドがAの頭を撫でて少し後ろに待機させる。
そして。
一階に降りて急ぎ足で玄関に向かう人物をフロイドが後ろから飛び掛かった。
「うがっ…！」
「捕まえたぁ〜っ！」
フロイドに飛び掛かられた勢いで、男が床に突っ伏す。
フロイドが背中に乗り、両腕を捻り上げた。
「いってぇ〜っ！」
「いってぇ〜事、してんだもん。当たり前じゃ〜んっ」
左腕の腕章をフロイドが見た。
「ふーん。スカラビアねぇ…」
男子生徒の周りには服が散乱していた。
「なぁにぃ？服ドロボーしようとしたの？」
「ううっ…」
「答えないとぉ、この両腕、折るよ」
「ぎゃぁぁぁっ！」
フロイドが腕を更に捻り上げた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 10人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：魅樹 | 作成日時：2023年4月19日 9時
