登校初日 〜2〜 ページ22
「ねぇ。アイツら全員、絞めて良いっ？」
「ふふふ。それは楽しそうですね。ですが、ここは食堂です。静かにしないと…」
「チッ…」
「言いたい奴には言わせておけば良い。絞めるだけ労力の無駄ですよ…」
アズールが新聞を折り畳んだ。
「さて、さっさと食事を済ませてしまいましょう」
「なんか…私のせいで…空気悪くなってませんか…？」
「小エビちゃんは何も悪くねぇよ…」
「そうですよ。ギャラリーが勝手に騒いでいるだけですから。お気になさらずお昼、食べましょうね」
ジェイドがニッコリ笑った。
「はい…」
「小エビちゃんは何食べたい？オレと同じにする？」
つい今までキレていたフロイドがニコニコしてAを見てくる。
「え…っと…、はいっ。私もフロイド先輩と同じのにしますっ！」
「決まりぃ〜。じゃ、注文しに行こっ」
「ふふふ。フロイドが楽しそうで何よりです」
ジェイドがフロイドとAを微笑みながら見守った。
昼休みも特に混乱もなく過ぎ、午後の授業も無事に終わった。
「Aさん…」
「エペルくん。あの、私の事、呼び捨てで呼んでくれるかな…？その方が、なんか、ありがたいって言うか…」
「うん。分かった。ボクのことも、エペルって呼んで！」
「うん。じゃぁ、エペル。どうしたの？」
「あのさ…、また…」
エペルがチラッと廊下を見た。
「フロイド先輩…」
「昨日の話、ボクも聞いたよ…。大変だったね…。でも、フロイド先輩たちがいつも側にいてくれたら安心だと思うよ」
「うん…。あ、あのね。フロイド先輩が、エペルの事、アイツなら変な事はしてこないからって言ってたよ！だから、これからも、私と仲良くしてくれるかな…？」
「もちろんだよ！フロイド先輩がボクの事を…。なんか、嬉しいな…。ボクの方こそ、よろしくね、Aっ！」
Aはとても嬉しかった。
この世界に来て一日だが、初めて友達が出来た。
嬉しい気持ちでフロイドの元へ駆け寄る。
「フロイド先輩っ！」
「な〜にぃ？小エビちゃん、嬉しそうじゃん」
「はいっ。あの、エペルと友達になれたので嬉しくて…」
「ふーん。良かったねぇ。グッピーちゃんがいてくれれば、オレも少しは安心かなぁ…」
「本当ですかっ？うわぁ〜…。良かったぁ…」
「あははっ…。カワイイ…」
フロイドがAの頭をポンポン撫でた。
「オレさぁ。これから部活なんだけど、一緒においでよ〜」
「部活…？」
「うん。バスケ部」
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年4月19日 9時
