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二人だけの寮 〜2〜 ページ18

「フロイド先輩?おはようございます…」

何の反応もない。
アラームは鳴り続けている。

「フロイド先輩?」

何度かノックしても声をかけても反応がない。

〜朝が弱いタイプ…?〜

「あの…、ドア…、開けますよ?」

その声にも反応しない。

Aは少しドキドキしながらそっとドアを開けた。

一気にアラーム音が大きく聞こえた。

「失礼します…」

緊張気味に部屋に入る。

「フロイド先輩…?」

ベッドでは掛け布団を足元まで蹴飛ばし、仰向けで大の字になったフロイドが眠っている。
しかも、Tシャツがめくれ上がっておへそが丸見えだった。

「………」

昨日のAを助けてくれたフロイドを思い出す。
目の前のフロイドとのギャップが笑えてくる。

〜アラーム…勝手に止めたらダメだよね…〜

「フロイド先輩っ。おはようございますっ!起きてくださいっ!」

大きめの声でフロイドを起こす。

「すぅー。すぅー」

〜全然起きない…。どうしよう…〜

今度はフロイドの肩を少し揺らしてみる。

「う……ん……」

少し反応した。

「フロイド先輩っ!うわぁっ…」

もう一度肩を揺らそうとした瞬間、Aはフロイドに抱き寄せられ、そのままベッドに乗ってしまった。

フロイドの抱き枕状態にされた。

「う…ん……」

フロイドは寝ぼけている。

「あの…っ…」

両腕と両足で全身を抱きしめられた状態のAは、身動きが取れない。

目の前にはフロイドの寝顔がある。

〜カワイ…カッコイイ…〜

思わずフロイドの寝顔に見とれてしまう。
Aの鼓動は速いまま。

〜これが…人魚…〜

Aはフロイドをじっと見つめる。

すると、フロイドの目がゆっくりと開き始めた。

「ん……。…なに…?……小エビちゃん…?」

全く驚くこともなく、フロイドが呟いた。

「はい…。おはようございます…」

「うん…。おはよ…」

「あの…。起きませんか…?」

「うん。……もう少し…。このまま…」

「えっ…」

フロイドはアラームだけは止めた。
しかしAを離さなかった。

〜えーっ!このままーっ?〜

フロイドが更にAの首に顔を埋めてくる。

「小エビちゃん…。いい匂い……」

「えっと……」

「じっとしてて…」

「……はい…」

「大丈夫…。何も…しないから…」

「……はい…」

耳元でフロイドの吐息が聞こえる。

「いい匂い…」

「………」

「んー…」

フロイドがAの頭を胸に抱き寄せた。

「えっ…」

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作者名:魅樹 | 作成日時:2023年4月19日 9時

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