二人だけの寮 〜1〜 ページ17
「そんな、悪いですよ…」
「だってさ。起きる時間、ほとんど一緒じゃん？」
「私、結構時間に余裕がないと落ち着かないタイプなので…、フロイド先輩より早起きになっちゃうと思うんですけど…」
「たまにはオレも早起きしてみるよ。で、何時？」
「えっと…、６時…」
「早っ…」
「だから言ったじゃないですか…」
「いーよいーよ。小エビちゃんと朝ごはんも食べたいしぃ。オレ、頑張って起きるね」
そう言ってフロイドがスマホのアラームをセットする。
「午前６時…っと。おっけー」
「ありがとうございます…」
「……小エビちゃんの部屋着姿…、カワイイね…」
急にフロイドが優しい目でAを見つめた。
「フロイド先輩のセンス…ですよ？」
「うん。だからカワイイ…」
「そう言うフロイド先輩も…カッコイイじゃないですか…」
「うん。知ってる」
「………」
「………」
二人が黙ってしまった。
「明日早いし、そろそろ寝よっかな〜…」
「そっ…そうですね…」
「小エビちゃん、眠れそう？」
「ど…どうだろう…」
「ぬいぐるみ抱っこすれば、大丈夫じゃね？」
フロイドがソファーから立ち上がって抱き枕を手に取った。
「はい。これがないと、眠れないんじゃないの？」
「ありがとう…ございます…」
「二階、行こ…」
「はい…」
二人は二階へ移動した。
「じゃ、また明日ね。おやすみ、小エビちゃん…」
「はい…。おやすみなさい…」
Aはフロイドにペコリと頭を下げて部屋の中へ入り、ドアをそっと閉めた。
それを見届けて、フロイドも向いの部屋に入る。
こうして夜は何とか過ぎて行った。
翌朝。
思いの外、Aはベッドでぐっすり眠れることが出来た。
〜そうだ…。ここは異世界…。向いの部屋にはウツボの人魚が…〜
思わずニヤける。
窓の外が明るい。
フロイドが起こしに来ない所を見ると、まだ6時前のようだ。
〜抱き枕だけでも…、一緒で良かった…〜
Aが抱き枕をギュッと抱きしめる。
少しすると、遠くでアラーム音が聞こえた。
〜6時…〜
しかしアラーム音が止まらない。
かなり長い間鳴り続けていたアラームがやっと止まる。
〜フロイド先輩…、まだ寝てるのかな…？〜
またしばらくするとアラーム音が聞こえてきた。
やはり鳴り止まない。
〜寝てるな…〜
Aはベッドから起き上がり、部屋を出る。
そして向いのフロイドが寝ている部屋のドアをノックした。
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年4月19日 9時
