フロイドの決心 〜4〜 ページ15
「そうか…。人魚って、服着ないんですね」
「うん。でもジェイドなんかさ、生地が重いとか、もたつくとか言って、全然服に興味持たねーの…」
「双子なのに、全然性格違いますね」
「あははっ。良く言われるー」
「ふふふ。ここまで性格が違う双子も珍しいですよね」
「ジェイド。また来たの?」
「ジェイド先輩っ…。いつの間に…」
「二人が楽しそうにお話をしていたものですから。邪魔しては悪いと思いまして、僕が入れるタイミングを待っていました」
ジェイドが談話室の中へ入ってくる。
「Aさん。先程はうちの寮生2名が、とんでもない事をしでかしてしまい、申し訳ありませんでした…。お怪我はありませんでしたか?」
「…はい…。大丈夫です…」
「で。あの二人、どうなったの?」
「フロイドからの連絡を受け、事実確認したところ、二人が認めましたので、一週間の謹慎処分と、今アズールが二人を連れて学園長の元ヘ行っています。恐らく学園長からも何かしらの処分を受けることになるでしょう」
「ふーん。ま、他のヤツが小エビちゃんに絡んで来なければオレはどーでも良いけど」
「フロイド先輩…、いつの間にジェイド先輩に連絡してくれたんですか…?」
「さっき。別に隠してもねーけど?」
「気付きませんでした…」
「これが学園中に知れ渡れば、Aさんが危険な目に遭うことも無くなるでしょう。そうでなければ困りますがね」
ジェイドが言いながらテーブルに大きな箱を置いた。
「Aさんの制服と寮服です。制服は、もちろんスラックスですから、安心してください。サイズ直しはフロイドにしてもらってくださいね」
「おっけー」
「分かりました」
「それとフロイド。アズールからの伝言てす。『ラウンジの当番から外してあげますので、その代わり、Aさんを守れ』との事です」
「……言われなくても、そのつもりだよ…」
「ふふふ。でしょうね。と言う事なので、フロイド。あなたは今日からこちらの寮で生活してくださいね」
「はいはい」
「Aさん。明日の朝はまず学園長室へ行ってください。フロイドが案内してくれますから。では、僕はこれで」
「ありがとうございました…」
ジェイドがニコッとして談話室を出ようとした。
「ふふふ。僕もこの色の方が良いと思いますよ」
無造作にソファーに置かれたウツボの抱き枕を見て、ジェイドが微笑んだ。
「ほらね?」
フロイドも笑った。
10人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:魅樹 | 作成日時:2023年4月19日 9時