フロイドの決心 〜3〜 ページ14
「………」
まだ声が出せない。
「小エビちゃん。震えてる？」
Aの身体が小刻みに震えてる。
Aは小さくうなずいた。
「ねぇ、お前ら。いつまでここにいんの？とっとと消え失せろっ」
ドスの効いた声でフロイドが男子生徒たちを威嚇した。
「ひえっ…」
男子生徒たちは自力で立ち上がり、フラフラと玄関を出て行った。
「怖かったね…」
「……はい…」
「オレが来たからもう大丈夫だよ？」
Aの目から涙が溢れた。
「泣くほど、怖かったんだ…」
Aは涙を拭いながらうなずいた。
「オレがいない時に…、ごめんね」
「…フロイド…先輩のせいじゃ…無いですから…」
「アイツら、うちの寮生だったね。アズールが黙ってないだろうから、大丈夫だよ」
フロイドがAの頭を撫でた。
「よしよし…」
「助けてくれて…ありがとう…ございました…」
「うん。たぶん、もう、誰も来なくなると思うよ。小エビちゃんに近付いて、オレに絞められたってみんなが知ればさ」
「そうなんですか…？」
「うん。だから、大丈夫。それに、なるべくオレが側にいてやるよ。そう決めた」
「気分じゃなくて？」
「うん。違うよ」
「どうして…、私の側に…いてくれるんですか？」
「分かんない。でも、何となく、そうしたいって思っただけ」
「まだ…出逢って一日も経ってないのに…」
「そんなの関係ねーよ…。それに、小エビちゃんって、ウツボが大好きなんでしょ？小エビちゃんだって、大好きなウツボが側にいたら嬉しいでしょ？」
「…はい…」
「じゃ、いーじゃん」
「はい…」
「歩ける？服、持って来たから見て欲しいんだけど」
「はい…」
「さっきのヤツらなんて忘れてさ、オレのセンスある服、見てよ〜！」
「うふふ…」
「そうそう。笑ってた方がいーじゃん。談話室、行こ？」
「はい」
談話室に向って歩くフロイドの後をAは付いて行った。
二人は談話室でフロイドの服を見て、フロイドがAに似合いそうな物を選び、魔法でサイズを直した。
「これでサイズもおっけー。それにしても、小エビちゃんにオレの服、似合ってんじゃん」
「うふふ…。ありがとうございます。本当に、素敵なデザインばっかりですね。しかも、高級そうだし…」
「まあね。オシャレには、多少のお金をかけなと。ほら、人魚ってさ。普段は服着ねえじゃん。だから、陸に上がって色んな服見てさ、オレ、すっげぇ楽しくなっちゃったワケ〜」
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作者名：魅樹 | 作成日時：2023年4月19日 9時
