オスカーの決断 〜3〜 ページ15
「はい。籍も入れずにこのままマリアが子供を産むのは、僕としても良い事だとは思っていません。ですが、僕も、ジェイドさんやアズールさんのような結婚出来るほどの出来た人間ではない…」
「ふふふ。自信満々で結婚出来る人なんて、そうそういないのでは？」
ジェイドが笑った。
「そうでしょうか…」
「少なくとも、僕は違いましたよ。僕がAを一生守る、と意気込んでいましたが、内心は不安もありましたよ。しかも僕はオーナーですからね。僕の判断ミスで店が無くなる事だってあり得るのですから」
「そう言うもんなんッスか？結婚って…」
「セナさんもアンナさんとの結婚、考えているのでしょう？」
「まぁ…。俺たちは、まだアンナが夢の途中だし、医者になってしばらくはしっかり一人で働きたいだろうし…。俺はまだまだ先ッスよ…」
「セナ先輩は、ちゃんと将来を考えてアンナさんとお付き合いしているじゃないですか。それに比べ、僕は…、何をやっているんだか…。どうすれば子供が出来るかくらい、知っていたと言うのに…」
オスカーがため息をついた。
「後悔したところで、マリアさんのお腹の赤ちゃんは待ってくれませんよ。それに、マリアさんの身体が心配ではないのですか？」
「もちろん、行ける日はマリアの家に通っています。ですが、マリアは肝心な結婚と言う言葉を言わないんです…」
「それはオスカーから言ってもらえるのを待っているのではないですか？」
「子供を産みたいと言っている時点で、俺もそう思うよ。オスカーとの子供だから産みたいんじゃないか？」
「………」
オスカーが黙って考える。
「ジェイドさん。セナ先輩。僕は、マリアと結婚しても、大丈夫だと思いますか？」
「は？」
セナが呆れた。
「ふふふ。オスカー。大丈夫かどうかなんて、誰にも分かりませんよ」
「結婚するかしないかは、二人で決める事だろ…？」
「そうですよね…」
「オスカーはマリアさんを愛しているのですか？」
「それはもちろん。マリアの事は、誰よりも僕が愛していると、自負しています」
「なら、悩む必要なんてないのでは？」
「アズール先輩だって、オスカーに身を固めろって言ってるんだろ？」
「ふふふ。セナさん。オスカーは僕たちに背中を押してもらいたいのですよ。アズールが言ったようにね」
ジェイドは笑った。
「と、言う訳で。僕からは、けじめをつけろ。とでも言っておきましょうか」
そしてお茶を一口飲んだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：魅樹 | 作成日時：2023年4月9日 22時
